研究課題/領域番号 |
16K08542
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菅波 晃子 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10527922)
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研究分担者 |
白澤 浩 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00216194)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬理学 / がん / 核酸 / 脂質 / 生体機能利用 |
研究実績の概要 |
本研究では,現状の「がん免疫療法」が抱える問題点を解決すべく,がん免疫編集機構(Cancer Immunoediting)の制御(Regulate)を目的とした“Cancer Immunoediting Regulate (CIR)リポソーム”が有する,(1)光免疫誘導機能:ICGによる一重項酸素を介した腫瘍特異性T細胞の誘導(獲得免疫),(2)免疫アジュバント機能:核酸アジュバントによる抗腫瘍免疫の誘導(自然免疫),(3)免疫チェックポイント認識機能:ペプチド医薬による抗原特異的認識(免疫抑制解除)による機能を効果的に利用した患者に優しい非侵襲性治療としての「がん複合免疫療法」を創生し,実臨床を視野に入れた新規の非侵襲性治療法の確立を発展させることを目的としている. 平成28年度に於いては,“CIRリポソーム”の構築を行うにあたって,(1)光免疫誘導機能,(2)免疫アジュバント機能,(3)免疫チェックポイント認識機能を有する分子の設計・化学合成等を実施した.また,(4)3つの機能(光免疫誘導機能,免疫アジュバント機能,免疫チェックポイント認識機能)を同時に有する新規の分子を考案し,合成方法の検討を行うと共に化学合成を実施した. 平成29年度に於いては,(3)の免疫チェックポイント認識機能を有する「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」と,(4)の3つの機能(光免疫誘導機能,免疫アジュバント機能,免疫チェックポイント認識機能)を同時に有する「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」の構築を行い,物理化学的機能評価を実施した.また,生理学的機能評価(悪性黒色腫の培養細胞を用いたin vitro機能評価系と悪性黒色腫の担がんマウスを用いたin vivo機能評価系)を実施するための評価系の構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に於いては,前年度に分子設計・化学合成等を実施した,「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」と「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」に関する物理化学的機能(結合特異性・相互作用速度・結合力等)に関する評価を実施すると共に,リポソーム膜表面に「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」と「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」有する,“CIRリポソーム:A(「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”と“CIRリポソーム:B(「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”の構築を行った. さらに,各々の“CIRリポソーム”が有する3つの機能(光免疫誘導機能,免疫アジュバント機能,免疫チェックポイント認識機能)を評価するための悪性黒色腫の培養細胞を用いたin vitro機能評価系と悪性黒色腫の担がんマウスを用いたin vivo機能評価系を構築したが,各々の機能評価を実施するには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に於いては,前年度に構築した“CIRリポソーム:A(「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”と“CIRリポソーム:B(「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”が有する3つの機能(光免疫誘導機能,免疫アジュバント機能,免疫チェックポイント認識機能)を悪性黒色腫の培養細胞を用いたin vitro機能評価系と悪性黒色腫の担がんマウスを用いたin vivo機能評価系により検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(“CIRリポソーム:A(「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”と“CIRリポソーム:B(「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”に関する3つの機能(光免疫誘導機能,免疫アジュバント機能,免疫チェックポイント認識機能)を評価するための悪性黒色腫の培養細胞を用いたin vitro機能評価系と悪性黒色腫の担がんマウスを用いたin vivo機能評価系を構築したが,各々の機能評価を実施するには至らなかった.
(使用計画) “CIRリポソーム:A(「抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”と“CIRリポソーム:B(「ICG+抗PD-L1ペプチド+Cholesterol」)”に関する3つの機能(光免疫誘導機能,免疫アジュバント機能,免疫チェックポイント認識機能)を評価するための悪性黒色腫の培養細胞を用いたin vitro機能評価系と悪性黒色腫の担がんマウスを用いたin vivo機能評価系を検討するための細胞実験ならび動物実験に関する費用に充てる.
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