研究課題
アドレノメデュリン(AM)は、血管拡張作用をはじめ多彩な生理活性を有する内因性ペプチドであり、AMとAMの受容体活性調節タンパクであるRAMP2は、血管だけでなく脂肪細胞においても高発現が認められる。本研究では、脂肪細胞におけるAM-RAMP2系の病態生理学的意義を明らかにするため、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を作製し、脂肪細胞におけるAM-RAMP2系の脂質代謝およびエネルギー代謝調節機構や、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の分化制御における細胞骨格構造の役割を新たに解明し、メタボリックシンドロームの新たな治療法開発へ展開することを目的とした。平成29年度は、鼠径部白色脂肪組織のエネルギー代謝制御におけるAM-RAMP2系の役割を主に検討した。鼠径部白色脂肪組織より前駆脂肪細胞を採取し、ベージュ脂肪細胞への分化誘導実験を行った。リアルタイムPCRによる遺伝子解析より、A-RAMP2-/-は野生型マウスと比較して、ベージュ脂肪細胞マーカーであるUCP1、Cideaなどの遺伝子発現が減少していた。以上の結果より、脂肪細胞のAM-RAMP2系が脂肪細胞のエネルギー代謝と分化制御に関与することが示唆された。さらに細胞骨格構造の詳細なメカニズムを解明することにより、脂肪細胞のAM-RAMP2系がメタボリックシンドロームの治療の有用な標的となるか明らかになると考える。
3: やや遅れている
脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を用いて、鼠径部白色脂肪組織のエネルギー代謝制御におけるAM-RAMP2系の役割を検討した。鼠径部白色脂肪組織より前駆脂肪細胞を採取し、ベージュ脂肪細胞への分化誘導実験を行った結果、リアルタイムPCRによる遺伝子解析より、A-RAMP2-/-は野生型マウスと比較して、ベージュ脂肪細胞マーカーであるUCP1、Cideaなどの遺伝子発現が減少していた。以上の結果より、脂肪細胞のAM-RAMP2系がベージュ脂肪細胞のエネルギー代謝と分化制御に関与することが示唆された。当初の目的よりやや遅れているが、順調に進展している。
平成30年度は、寒冷刺激によりベージュ脂肪細胞および褐色脂肪細胞を分化誘導することで、鼠径部白色脂肪組織、褐色脂肪組織のエネルギー代謝と分化制御におけるAM-RAMP2系の役割をより詳細に解明する。また、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を用いて、in vitroでベージュ脂肪細胞および褐色脂肪細胞の前駆脂肪細胞の分化誘導実験を行い、AM-RAMP2系の分化制御メカニズムについてより明確にする。
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