研究課題
アドレノメデュリン(AM)は、血管拡張作用など多彩な生理作用を有する内因性ペプチドであり、AMとAMの受容体活性調節タンパクRAMP2は脂肪細胞においても高発現が認められる。本研究では、脂肪細胞におけるAM-RAMP2系の病態生理学的意義を明らかにするため、脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を作製し、脂肪細胞におけるAM-RAMP2系の脂質代謝およびエネルギー代謝調節機構や、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の分化制御における細胞骨格構造の役割を新たに解明し、メタボリックシンドロームの治療法開発へ展開することを目的とした。平成30年度は、褐色脂肪組織のエネルギー代謝と分化制御におけるAM-RAMP2系の役割を検討した。A-RAMP2-/-の褐色脂肪組織より前駆脂肪細胞を採取し、褐色脂肪細胞への分化誘導実験を行い、AM-RAMP2系の褐色脂肪細胞への分化制御メカニズムにおける役割について解析した。A-RAMP2-/-は、野生型マウスと比較して、ミトコンドリア染色陽性の細胞が減少していた。また、リアルタイムPCR解析により、UCP1、Cideaの発現が減少していたことから、AM-RAMP2系がミトコンドリアの機能制御に関与することが示唆された。以上の結果より、脂肪細胞のAM-RAMP2系が脂肪細胞のエネルギー代謝に関与することが示唆され、さらに詳細なメカニズムを解明することにより、メタボリックシンドロームの治療の有用な標的となるか明らかになると考える。
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