研究課題/領域番号 |
16K08554
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
石井 邦雄 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (90137993)
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研究分担者 |
中原 努 北里大学, 薬学部, 教授 (10296519)
森 麻美 北里大学, 薬学部, 助教 (80453504)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 網膜 / 内皮細胞 / アストロサイト / 神経細胞 / 神経-グリア-血管連関 |
研究実績の概要 |
網膜における血管形成にはグリア細胞の 1 つであるアストロサイトと本細胞が産生する fibronectin が重要な役割を担っている。NMDA (200 nmol) を 1 週齢のラットに硝子体内投与することにより視神経節細胞を著しく脱落させると網膜血管は NMDA 処置 7 日後までは形成が抑制されているものの、14 日後より再び形成され始め 28 日後でほぼ完成する。 本年度は、① アストロサイトの形態と数をそれぞれ GFAP と Pax2 の免疫染色により検討し、アストロサイトは、その大きさを NMDA 処置 2 日後から 14 日後まで増大させるが 28 日後には正常レベルとすること、その間、数を変化させないこと、② fibronectin は NMDA 処置 2 日後において、血管基底膜の構成成分として血管に沿って存在するものと網膜実質のアストロサイトが産生するものとして認められること、③ NMDA 処置 7 及び 14 日後では、毛細血管の脱落に伴い網膜実質において血管基底膜とは異なる fibronectin のネットワークが観察され、そのfibronectinのネットワークに沿うように既存血管からの血管新生芽が認められるようになること、④ 21 及び 28 日後では、血管が再形成されるのに伴い網膜実質における fibronectin は認められなくなること、を明らかにした。 以上の結果より、視神経節細胞を著しく脱落させた後にアストロサイトが活性化され、fibronectinを産生することにより網膜血管の再形成を促進する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網膜実質に存在するアストロサイトが産生するfibronectinのネットワークを足場として血管内皮細胞が遊走し血管が再形成されることを示唆し、網膜神経傷害後の血管の再形成過程におけるグリア-血管連関について、明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
網膜実質で認められる fibronectin のネットワークが形成される詳細な機序は不明であるため、血管新生促進因子、例えば、VEGF の発現量とその分布、VEGF 阻害薬の効果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表費用として、学会の出張旅費及び参加費を計上していたが、研究の進捗状況の検討により、学会発表は平成30年度に行うのが適当との結論に至ったため、その費用は平成29年度には使用せず、平成30年度に支出することとした。
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