研究課題/領域番号 |
16K08557
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
草苅 伸也 東京医科大学, 医学部, 助教 (10510901)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経変性疾患 |
研究実績の概要 |
細胞増殖因子であるProgranulinにおいて、遺伝子変異が前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia:FTD)を引き起こすことが近年明らかとなっている。その後の解析から、Progranulinの機能低下がFTD発症に関係すると考えられてきたが、Progranulin遺伝子変異によるFTD発症メカニズムは不明な点が多い。このような背景から研究代表者は、これまでの仮説とは異なる新たな細胞機能制御にProgranulinが関与しており、遺伝子変異によるこの機能破綻が神経変性疾患に関わるのではないかと考え、Progranulinの新たな細胞機能について解析を行ってきた。その結果、Progranlinがこれまでに報告されている細胞機能とは異なる新たな細胞機能の調節に関与する可能性を見出した。本研究では、その細胞機能の分子メカニズムの解明および機能破綻と神経変性疾患発症との関連について解析を進め、現在までに、Progranulinの新たな細胞機能の分子メカニズムの一端を明らかにしている。さらに、神経変性疾患との関連を明らかにするため、Progranulinの遺伝子改変動物の開発に取りかかっており、すでに複数の動物が得られている。今後は、遺伝子変異がおよぼす新規細胞機能への影響について、変異体や阻害剤などを用いた解析を進めるとともに、同定した細胞機能の破綻と細胞死との関連を明らかにする。さらに神経変性疾患発症との関係について、作製した遺伝子改変動物を用いて個体レベルでの解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Progranulinが関わる新たな細胞機能を同定し、その分子メカニズムの一端を明らかにした。現在、この細胞機能について、すでに作成している変異型Progranulinの発現プラスミド等を用いて、遺伝子変異との関係性を解析している。また、Progranulinの遺伝子改変動物を作製し、同定した細胞機能と神経変性疾患発症との関係について、個体レベルでの解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
同定した細胞機能について、細胞レベルでProgranulin遺伝子変異の影響を解析するとともに、細胞死との関連性を明らかにする。さらに、Progranulinの遺伝子改変動物を用いて、神経変性疾患発症との関係について、個体レベルでの解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究はほぼ計画通り順調に進んでいる。研究試薬の価格改定などの影響により次年度使用額としてわずかに予算が残ったが、こちらは次年度予算と合わせて計画通り使用する予定でいる。
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