研究課題/領域番号 |
16K08566
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60399186)
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研究分担者 |
高田 芙友子 福岡大学, 薬学部, 助教 (70412575)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 教授 (90341453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳ペリサイト / αシヌクレイン / 血液脳関門 / オートファジー / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
昨年度までで脳ペリサイトがαシヌクレインを取り込むことが明らかとなったので、今年度は取り込み後の細胞内αシヌクレイン動態について検討を行った。脳ペリサイトにαシヌクレインを24時間処置した後の細胞内のαシヌクレイン量が、初期相(1時間後)よりも少なかったことから、細胞内での分解および細胞内からの排出の可能性が考えられた。また、24時間後のαシヌクレイン細胞内取り込み量は、他の血液脳関門構成細胞である脳血管内皮細胞よりも少なく、アストロサイトとは同程度であった。そこで、リソソーム阻害剤であるbafilomycin A1存在下でαシヌクレインを脳ペリサイトに負荷すると、24時間後のαシヌクレイン細胞内取り込み量が増加していた。また、このときのオートファジー関連タンパクであるLC3およびp62発現量も増加していた。これらの作用は脳血管内皮細胞およびアストロサイトでは認められなかった。 7週齢ICR雄性マウスの線条体に6-hydroxydopamine(6-OHDA)を投与し、パーキンソン病モデルマウスを作製した。この動物に脳ペリサイト由来エクソソームを6-OHDA投与と同時に投与した。アポモルフィン誘発性回転運動を評価したところ、投与2週間後において、エクソソーム投与群で統計的に有意ではないものの運動機能障害改善効果が認められた。脳ペリサイト由来エクソソームがパーキンソン病の治療薬となる可能性が示唆され、今後至適投与量・タイミングなどを詳細に検討していく必要がある。 以上、脳ペリサイトにはαシヌクレイン特異的な分解機構が存在することが示唆され、血液脳関門において脳ペリサイトがαシヌクレインの分解を担い、ドパミン神経障害を保護している可能性がある。本細胞の異常がパーキンソン病発症の鍵となるかもしれない。
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