研究課題/領域番号 |
16K08567
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
西奥 剛 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (90435115)
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研究分担者 |
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10311846)
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CD147 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
関節リウマチにおいて、関節炎症の持続は骨破壊をきたし、ADLに著しい障害をきたすようになる。骨破壊において主役をなす破骨細胞は、単球/マクロファージ系前駆細胞が細胞融合を繰り返して分化した多核巨細胞である。アクチンリングは、骨との接着面に無数のポドソームをドーナツ状に配置したシーリングリング構造で、リングの内側に酸やプロテアーゼを濃縮する骨吸収に必須な構造である。ポドソームは浸潤突起のひとつで、その1つは小さいが、寄り集まることにより細胞融合やアクチンリングの形成を担っている。破骨細胞に形成されるポドソームは浸潤突起の生理的なカウンターパートであるが、その形成および制御機構についての詳細は不明である。 CD147はマトリックスメタロプロテアーゼの発現誘導因子であり、がん細胞の浸潤・転移の大役を担っている。CD147は関節リウマチにおいても発現増加することが報告されており、また健常者と比較して関節リウマチ患者のマクロファージでCD147の発現が高いこと報告がされている。しかし、関節リウマチにおけるCD147の役割についてその詳細は不明である。そこで、関節リウマチにおいて発現増加するCD147が、破骨細胞のポドソームを介した細胞融合ならびにアクチンリング形成を亢進させ、過剰な骨吸収を起こすという仮説を提起した。 まず、骨髄細胞をM-CSFならびにRANKLで破骨細胞に分化させ、CD147の発現をウエスタンブロッティングにて検討した結果、破骨細胞で有意に発現増加が見られた。また、siRNAによりCD147の発現を抑制すると、破骨細胞の分化が抑制され、CD147が破骨細胞の分化に関わっている可能性が示唆された。現在、破骨細胞におけるポドソーム形成とCD147の局在について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調である。 骨髄細胞をM-CSFならびにRANKLで破骨細胞に分化させ、CD147の発現をウエスタンブロッティングにて検討した結果、破骨細胞で有意に発現増加が見られ、分化1日目から3日目にかけて発現が経時的に増加していた。siRNAによりCD147の発現を抑制すると、破骨細胞の分化が抑制された。 次年度は免疫染色により、ポドソームにおけるCD147の局在について検討していきたい。また、ウェスタンブロティングでもDC-STANPやATP6V0D2を検討して、細胞融合を確認していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞の分化におけるポドソーム形成は、そのマーカーであるcortactin、c-SrcならびにWASPの免疫染色ならびにウエスタンブロッティングにて検討する。cortactin、c-SrcならびにWASPとCD147の免疫蛍光二重染色をおこない、ポドソームにおけるCD147の局在について検証する。siRNAによりCD147の発現を抑制し、細胞融合が抑制されるか検証し、細胞融合に関連する、DC-STAMP、OC-STAMPならびにATP6V0D2の発現をウエスタンブロットにて検討する。さらに、ファロイジン Alexa-488を用いアクチンリングを可視化し、CD147の蛍光免疫染色によりCD147のアクチンリングへの局在について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目で研究費を抑えて使用したため。 次年度に、培養用の牛胎児血清、siRNA関連、ウエスタンブロッティング検出試薬など高額なものが消費よりなくなることが予測される。そのため、次年度に使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、牛胎児血清、siRNA関連試薬、ウエスタンブロッティング検出試薬の購入にあてる。
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