ヒトの癌の80%以上が上皮組織由来であるが、悪性化に伴い、少なくとも一過的に上皮形質を失い、間葉形質を獲得(上皮-間葉転換, EMT)することが知られている。EMTは癌細胞に運動能、浸潤能、薬剤耐性能などを付与することが知られているが、EMTは細胞が十分に癌化する前であっても起こり、癌の早期発見とその切除だけでは解決策とは言えない。従って、上皮細胞がその本来的性質を保つ仕組みの根本的な理解が必要と言える。 癌抑制タンパクp53は様々な分子の転写を司る転写因子であり、癌の半数以上は正常p53を失っていることが知られている。本研究では、p53が上皮細胞の本来的性質を維持させる新しい機構を示した。
|