昨年度、DR6が関与するとされる喘息モデル等に有用なBalb/cマウス遺伝子背景に、CRISPR/Cas9法によりDR6遺伝子単純欠損を導入し、DR6欠損Balb/cマウスの産仔を複数得るに至った。本年度はこれらDR6遺伝子欠損マウスの表現系を解析した。得られた産仔それぞれのゲノム上のDR6遺伝子領域を対象に、DNAシーケンス解析を行った結果、DR6遺伝子の機能的欠損アリルが複数見出された。これらのうち、比較的大きな領域が欠損されていたアリルを2つ、一塩基欠損アリルを1つ選択し、その後の解析に供した。これらのアリルは同一個体において互いにヘテロであったため、次に、それぞれのアリルの分離を試みた。野生型Balb/cマウスとヘテロDR6遺伝子欠損マウスとの交配を行い、各欠損アリルと野生型アリルをもつヘテロ産仔を得た。各欠損アリルにつき兄妹交配を行い、各欠損アリルのホモ個体を得るに至った。得られたホモ個体はいずれも既報の通り、外見的な異常および繁殖能等に異常は認められなかった。次に、各アリルにつきホモ個体同士の兄妹交配をおこない、3つのアリルについて、それぞれを独立にもつ系統として確立した。系統保存を目的に、各系統の一部の個体から受精卵および精子を採取し、凍結保存を行った。一方で、また一部の個体から免疫細胞を採取し、各免疫細胞ポピュレーションにおけるDR6タンパク質発現量をフローサイトメトリー法により行い、それぞれ3つのアリル上の機能欠損によりDR6タンパク質発現が欠損されていることを確認した。
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