研究課題
基盤研究(C)
本研究では、低分子量GTP結合タンパク質Ralの異常によるがん化、がん悪性化の分子メカニズムを解析した。RalGAPの発現低下によるRalの恒常的な活性化が、口腔扁平上皮がん細胞や膵臓がん細胞の遊走、浸潤の促進に関わっていることを明らかにした。また、口腔がん組織においてRalGAPα2の発現が低下しており、プロモーター領域のDNA、ヒストン修飾が関与することが示唆された。
生化学
Rasファミリーの低分子量Gタンパク質Ralは、多くのがんで活性化されており、その阻害剤が開発される(Yan et al. Nature, 2014)など非常に注目されている。本研究ではRalの抑制性調節因子であるRalGAPの発現が、がんにおいて転写レベルで低下しており、それがRalの高度な活性化につながることを示した。Ralの機能制御機構の理解は新しいタイプの抗がん薬の開発につながる可能性がある。