研究課題
Tm2d3の機能に必須であると考えられるexonを欠失したマウス系統を樹立した。初代培養胎仔線維芽細胞を用いて検討したところ、Tm2d3欠失細胞では野生型細胞に比して細胞表面におけるNotch1およびNotch2の発現が低下していた。この結果は、細胞表面を抗体で染色した研究でも、膜非透過型タンパク質ビオチン化試薬を用いた研究(最終年度の成果)でも同様であった。以上はTM2D3の過剰発現によってNotch1の細胞表面の発現が増加するという以前の結果と合致するものであり、TM2D3はNotch受容体の細胞表面における発現を正に制御すると結論された。FLAG tagを付加したTM2D3(FLAG-TM2D3)をテトラサイクリン誘導性に発現する細胞株を樹立した。免疫染色法によって、FLAG-TM2D3は多数の細胞内小胞様構造に局在することが示された(最終年度の成果)。このFLAG-TM2D3の結果は内因性TM2D3の局在を反映していると考えられる。ショウジョウバエ初期胚において、NotchとそのリガンドDeltaの発現はblastoderm期の細胞表面で開始する。さらにこの時期の腹部予定内胚葉細胞では、リガンドー受容体相互作用にひき続いて生じるtransendocytosisの結果、NotchおよびDeltaの細胞外ドメインは細胞内小胞に共局在する。ところがTM2D3のショウジョウバエ相同体であるalmondex (amx)の欠失突然変異体では、このNotchとDeltaを含む小胞はほとんど観察されず、これらが細胞頂端部の形質膜付近に蓄積していることを見出した。さらにこの表現型は野生型amxを含むゲノム領域の導入によって消失することを見出した(最終年度の成果)。これらの結果は、Amxは、Notchが細胞表面に発現してリガンドとの相互作用するために必要であるという考えと一致する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
eLife
巻: 9 ページ: e50979
10.7554/eLife.50979
Development, Growth & Differentiation
巻: 62 ページ: 80-93
10.1111/dgd.12639.
国際医療福祉大学学会誌
巻: 24 ページ: 171