研究課題
脊椎動物の体は複雑で立体的な形態をしており、組織や器官が正しく形作られ適切に配置されることにより初めて機能を発揮できる。こうした三次元的な形態形成の場には組織張力の制御が不可欠であるが、その詳細な分子機構については不明な点が多い。三次元組織形成・維持において、組織の力学特性を統御するYAP分子ネットワークの実体を明らかにすることを目的に、RNA-seq法によりメダカ野生型とYAP変異体 (hir変異体) との間の比較トランスクリプトーム解析を行い、hir変異体において顕著な発現変動を示す複数の遺伝子を明らかにした。さらにYAPメカノ分子ネットワークの候補分子について、CRISPR-Cas9法を用いてノックアウトフィッシュの作成を遂行した。現在までに、複数のノックアウトフィッシュが得られており、表現型の解析を進めている。今回のメダカhir変異体を用いたRNA-seq解析により、YAPの下流標的遺伝子群を網羅的に明らかにすることができた。特にhir変異体において顕著な発現変動を示す上位50遺伝子の中には、インテグリンシグナルやアクチンの重合・脱重合に関与する遺伝子群が含まれており、YAPメカノホメオスターシスを支える重要因子の可能性がある。今後、これまでに作出に成功したノックアウト変異体の詳細な表現型解析をさらに進めることにより、YAPメカノホメオスターシスの分子基盤の一層の理解につながるとともに、YAPメカノ分子ネットワークの破綻がどのように疾患の発症・増悪へ関与するのかを明らかにできると考えている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
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