研究課題/領域番号 |
16K08591
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
本家 孝一 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (80190263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 精子形成 / 精母細胞 / セルトリ細胞 / セミノリピド / 乳酸トランスポーター / MCT4 / ベイシジン / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
我々は、マウス精母細胞の細胞膜上で硫酸化糖脂質のセミノリピドとベイシジンが共局在し相互作用していることを見出した。さらに、乳酸トランスポーターのMCT4がベイシジンと複合体を形成していることを見出した。意外にもMCT4のmRNAは、精母細胞では発現しておらず、セルトリ細胞で発現していた。MCT4タンパク質は精母細胞にも存在していたので、MCT4はタンパク質に翻訳された後、セルトリ細胞から生殖細胞に移送されると仮定した。セミノリピド欠損マウスの精母細胞にはMCT4タンパク質が存在しなかったので、セルトリ細胞から生殖細胞への移送が障害されていると仮定した。 そこで、セルトリ細胞-精母細胞間MCT4タンパク質移送メカニズムを解明するため、マウス精巣からセルトリ細胞を単離し、無血清培地で培養した後、培地から細胞外小胞を単離し、電子顕微鏡で直径約100 nmの小胞を確認した。単離した細胞外小胞を可溶化し、ウエスタンブロッティングでMCT4の存在を確認した。 MCT4タンパク質移送プロセスにおけるセミノリピドの役割を解明するため、セルトリ細胞の培地から細胞外小胞を単離し、細胞数あたりの総タンパク質、MCT4、総コレステロールの濃度を定量した。セルトリ細胞培養時の培地にセミノリピド、または、サルファタイド(セミノリピドと同一の硫酸化糖鎖構造をもつスフィンゴ脂質)を添加した際の、細胞数あたりの総タンパク質、MCT4、総コレステロールの濃度を定量して比較した。この結果、セミノリピドとサルファタイドが、セルトリ細胞の細胞外小胞産生分泌を促進することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、セルトリ細胞から分泌される細胞外小胞の単離とMCT4タンパク質の存在確認を行うとともに、セミノリピドがセルトリ細胞の細胞外小胞産生分泌を促進することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
免疫電子顕微鏡観察法でマウス精細管内におけるMCT4の局在場所を調べる。 In vitroセルトリ細胞-精母細胞間MCT4タンパク質移送実験系を構築し、MCT4タンパク質移送メカニズムを詳細に解析する。
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