研究課題
本研究において、マウス精母細胞の細胞膜上で硫酸化糖脂質のセミノリピドとベイシジンが共局在し相互作用していることを見出した。さらに、マウス精母細胞の細胞膜上でMCT4がベイシジンと複合体を形成してはじめて機能性の乳酸トランスポーターとなることを明らかにした。ところがMCT4のmRNAは、精母細胞には見つからず、セルトリ細胞で発現していることがわかった。MCT4タンパク質は精母細胞にも存在していたので、MCT4はタンパク質に翻訳された後、セルトリ細胞から精母細胞に移送されることが考えられた。セミノリピド欠損マウスの精母細胞にはMCT4タンパク質が存在しなかったので、セルトリ細胞から生殖細胞への移送が障害されていると仮定した。そこで、セルトリ細胞-精母細胞間MCT4タンパク質移送メカニズムを解明するため、マウス精巣からセルトリ細胞を単離し、無血清培地で培養した後、培地から直径約100 nmの細胞外小胞を単離し、その小胞内にMCT4の存在を確認した。MCT4タンパク質移送プロセスにおけるセミノリピドの役割を解明するため、セルトリ細胞培養時の培地にセミノリピドを添加すると、セルトリ細胞の細胞外小胞産生分泌を促進することを見出した。以上の結果から、精母細胞表面に発現するセミノリピドがセルトリ細胞表面に発現する未知の受容体に刺激を与え、セルトリ細胞からMCT4を含む細胞外小胞の分泌を促すと考えられた。そこで、今年度はセルトリ細胞表面に発現するセミノリピド受容体を同定するためのアフィニティーラベル用試薬の調製を行った。具体的には、セミノリピドと同一の硫酸化糖鎖構造をもつサルファタイドの脂肪酸を外してリゾサルファタイドを調製し、遊離したアミノ基に光アフィニティーラベル試薬を結合した。この他、リゾサルファタイドにビオチンを結合した試薬も調製した。
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