研究課題
本研究では、レギュロン制御の視点から代謝調節系のメカニズムを明らかにすることで、生体恒常性維持機構の理解を目指す。なお本研究では、細胞内エネルギー代謝がAd4BP/SF-1レギュロンによって制御されていることが既に明らかになっている副腎および生殖腺に焦点を当てる。 以下の3つ実験項目を設定し、糖濃度に応答したAd4BPのレギュロンスイッチングの分子メカニズムを多方面から検討することで、その実体解明を目指している。各実験項目に関して、当該研究期間中に得られた結果に関して下記に記す。実験(1) 糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の翻訳後修飾の同定とその機能解析:様々な糖濃度条件下で培養した細胞におけるAd4BPの翻訳後修飾の同定を試みた。翻訳後修飾を同定したのち、その修飾を受けたAd4BPのクロマチン結合領域をChIP-sequenceにより明らかにする予定である。実験(2) 糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の共役因子の同定とその機能解析:免疫沈降及び質量分析によりAd4BPの共役因子の同定を行った。これまでに幾つかの共役因子の候補が得られた。これらの因子の糖濃度に応答したレギュロンスイッチングへの関与について検討を行う。実験(3) 糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1結合領域のクロマチン構造変化の検討:糖濃度の変化に応答し、クロマチン構造の変化する領域をFAIRE-sequence法にて同定した。これらの領域とAd4BP/SF-1結合領域の比較を行った。
2: おおむね順調に進展している
実験(2)に関しては、Ad4BP/SF-1と共免疫沈降される因子群を質量分析により同定することで、これまでに幾つかの共役因子の候補を得ることに成功した。これらの候補因子の中には通常細胞質でエネルギー代謝に関与していることが知られている酵素タンパク質が含まれていることから、これらのタンパク質が核内で未同定の機能を発揮している可能性が考えられる。実験(3)に関しては、FAIRE-sequenceにより糖濃度の変化に応答してクロマチン構造が変化する領域をゲノムワイドに同定した。これらの領域をAd4BP/SF-1の結合領域と比較することにより、Ad4BP/SF-1依存的なクロマチン構造変換によって制御される遺伝子を幾つか同定した。実験(1)に関しては、これまでに糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の翻訳後修飾の同定には至っていない。理由として、翻訳後修飾を受けているAd4BP/SF-1の全体に占める割合が低い可能性が考えられる。
実験(1)に関しては、引き続き糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の翻訳後修飾の同定を試みる。実験(2)に関しては、これまでに得られている共役因子候補との相互作用の検証を行い、共役因子であることが確定したものに関しては遺伝子のノックダウンを行い、その影響を検討する。実験(3)に関しては、糖濃度の変化に応答してクロマチン構造が変化する領域に結合する因子の予測を行う。
物品費の使用額が当初の予想よりも少なくなったため
今年度の物品費として使用する
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://www.med.kyushu-u.ac.jp/seisaseibutu/