研究課題
Ad4BPの翻訳後修飾を同定するために、FLAGタグを付加したAd4BPを安定的に発現するHEK293細胞 (293-FLAG-Ad4BP)を樹立した。293-FLAG-Ad4BPの核抽出液からFLAG抗体による免疫沈降を行い、FLAG-Ad4BPを単離し、質量分析によりその翻訳後修飾の同定を行った。その結果、これまでに報告のない、3カ所のリジン残基のアセチル化修飾が同定された。そのうち2カ所のリジン残基はC末端側のリガンド結合ドメインに存在した。Ad4BPのリガンド結合ドメインは、β-カテニン等との相互作用に必要であることが分かっていることから、今回同定したAd4BPのアセチル化がAd4BPと共役因子との相互作用の調節に関与している可能性が示唆される。また、アセチル化の修飾基の供与体であるアセチルCoAは糖、および脂肪酸の代謝によって産生されることから、細胞内のエネルギー代謝状態のセンサーの一つであると考えられている。実際、Ad4BPのアセチル化修飾は高糖濃度条件下で亢進していることから、糖濃度に応じたAd4BPの機能制御をおこなっている可能性が十分に考えられる。そこで、今回同定した3カ所のリジン残基がそれぞれアセチル化されたAd4BPを特異的に認識するモノクローナル抗体の作成を行った。その結果、K45がアセチル化されたAd4BPを特異的に認識する抗体が得られた。また、K392、およびK435アセチル化Ad4BPに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマもすでに数10種ずつ得られており、順次スクリーニングを行なっている。今後、免疫染色により生体内におけるアセチル化Ad4BPの時空間的局在を調べる。また、アセチル化Ad4BPが制御する標的遺伝子をChIP-seqにより明らかにすることで、外界刺激に応答したAd4BPによるレギュロン制御メカニズムを理解する。
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