研究課題
生体内には多彩な脂質メディエーターが存在し、多種多様な生理機能を発揮することが明らかにされている。特に近年、質量分析機の革新的な進歩によって、ごく微量に存在する新規の生理活性脂質が同定されている。しかしながら、生理活性脂質の中には、受容体、輸送体、代謝酵素などの結合タンパク質が未同定な分子も多く存在する。本研究は、ケミカルバイオロジーの手法を用いて脂質メディエーターの新規結合タンパク質を同定し、脂質メディエーターの新しい生理機能や制御機構を明らかにすることを研究目的とする。本年度は、脂質メディエーターとジアジドプローブをアミド結合させた脂質プローブが機能するかを、より簡単な構造を有する脂質であるアラキドン酸(AA)とエイコサペンタエン酸(EPA)を用いて検討した。ジアジド基を有するプローブをアラキドン酸、またはEPAにアミド結合させ、HEK293細胞に添加することで、標的とするタンパク質と特異的に結合するかの検討を行った。HEK293細胞にアラキドン酸プローブ、またはEPAプローブを添加後、UV照射を行い、標的タンパク質と結合させた。細胞を溶解させた後、クリック反応でアジド基をCy5-アルキンと結合させ、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。Cy5の蛍光を蛍光イメージャーで取得したところ、脂質プローブを添加させたサンプルで比較的濃いバンドを検出することができた。したがって、作成した脂質プローブがきちんと機能していることがわかった。
3: やや遅れている
脂質メディエーターのケミカルプローブ作成まで達成したかったが、条件検討に時間を有しているため。
脂質プローブの有効性の検証を速やかに実施し、脂質メディエーターのケミカルプローブ作成に取り掛かる。
当初の計画まで研究が進展しなかったため。
消耗品の購入に充て、研究を進展させる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
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