研究課題
昨年ロイコトリエエンB4(LTB4)の受容体BLT1とインバースアゴニストBIIL260の複合体の結晶構造解析に成功した。その結果、BIIL260に含まれるベンザミジン基が、BLT1のNa+ー水クラスター結合部位に結合していることを明らかにした。ベンザミジン基が不活性状態のBLT1の立体構造を安定化していると考えられるが、BLT1の恒常活性変異体は得られていなかったため、BIIL260がインバースアゴニストであるかは否かは明らかでなかった。そこで、過去のシステイニルロイコトリエンD4受容体(CysLT2)の変異体が恒常活性を示す報告などを参考に、BLT1のヘリックス3のアミノ酸を点変異させたところ、TGFアルファ切断アッセイで恒常活性を示すことを明らかにした。このBLT1変異体を用いたTGFアルファ切断アッセイにおいて、BIIL260は容量依存的にインバースアゴニスト活性を示した。したがって、BIIL260はBLT1のインバースアゴニストであり、IC50も比較的小さいことがわかった。この結果は、ベンザミジン基がBLT1の7回膜貫通ヘリックス束の活性状態への構造変化を阻害し、Na+ー水クラスターと同様に不活性状態の立体構造の維持に寄与することを示唆している。さらに、ベンザミジン基を有するBIIL260とは異なる構造の化合物がBLT1に対するインバースアゴニスト活性を示すことを見出しており、今後、構造活性相関の検討によって新たなBLT1拮抗薬の開発を目指す。
2: おおむね順調に進展している
BLT1に対するインバースアゴニスト活性を有する化合物を見出しており、構造活性相関の検討により、新規BLT1拮抗薬を開発する基礎データが得られているため。
BLT1に対してより活性の高いインバースアゴニストを見出し、新規BLT1拮抗薬の開発を目指す。
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