研究課題
LTB4の高親和性受容体BLT1とインバースアゴニストBIIL260の複合体の結晶構造解析に成功した。その結果、BIIL260に含まれるベンズアミジン基が、BLT1のNa+ー水クラスター結合部位に結合していることがわかった。ベンザミジン基内のプロトン化アミジン基は、GPCRで高度に保存されているアスパラギン酸残基と2つのセリン残基にそれぞれ塩橋と水素結合を形成していた。また、ベンズアミジン基内のベンゼン環は、バリン残基とトリプトファン残基と相互作用していた。この相互作用は、Na+ー水クラスターの相互作用を模倣しているため、ベンズアミジン基はNa+ー水クラスターと同様に、不活性状態のBLT1の立体構造を安定化していると考えられた。したがって、ベンズアミジン基はGPCRの7回膜貫通ヘリックス束の活性状態への構造変化を阻害し、Na+ー水クラスターと同様に不活性状態の立体構造の維持に寄与すると考えられた。また、以前報告されたシステイニルロイコトリエンC4,D4受容体(CysLT2)の恒常活性変異体を参考に、BLT1のヘリックス3のアミノ酸を点変異させたところ、TGFアルファ切断アッセイで恒常活性を示すことを明らかにした。このBLT1変異体を用いたTGFアルファ切断アッセイにおいて、BIIL260は容量依存的にインバースアゴニスト活性を抑制した。本研究によってBIIL260のインバースアゴニスト活性を直接証明することができた。さらに本年度では、以前同定されたBLT1のインバースアゴニストの候補化合物が恒常活性を抑制するかどうかをTGF切断アッセイを用いて検討した。その結果、BIIL260と同等の活性を有数化合物を複数同定することができた。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 10件) 備考 (1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 525(4) ページ: 909-914
10.1016/j.bbrc.2020.03.037.
Genes Cells.
巻: 25(3) ページ: 197-214
10.1111/gtc.12750.
FASEB J
巻: 33 ページ: 14528-14541
Org Lett
巻: 21 ページ: 4667-4670
10.1021/acs.orglett.9b01554.
Allergy
巻: 74 ページ: 2237-2240
10.1111/all.13831.
巻: 33 ページ: 12668-12679
10.1096/fj.201901360R.
J Dermatol Sci
巻: 95 ページ: 130-133
10.1016/j.jdermsci.2019.07.010.
Int J Mol Sci
巻: 20 ページ: 3580
10.3390/ijms20143580.
Cutting-Edge Organic Synthesis and Chemical Biology of Bioactive Molecules
巻: 1 ページ: 233-246
10.1007/978-981-13-6244-6_10
http://plaza.umin.ac.jp/j_bio/publication.html