研究成果の概要 |
α2,6-シアル酸を欠損したマウスにルイス肺癌細胞細胞を皮下移植し、その後の腫瘍増殖について調べた。その結果、KOマウスでは腫瘍増殖が野生型マウスと比べて明らかに減退していること、さらにKOマウスでは腫瘍内部の血管内皮細胞の多くがアポトーシスマーカーを発現しており、死にやすくなっていることも分かった。α2,6-シアル酸が欠損するとα2,6-シアル酸依存的なPECAM同志のホフィリックな相互作用が失われる結果、細胞表面にとどまれず、結果的にPECAM-VEGFFR2-インテグリン複合体が異常なシグナルを伝えることで、血管内皮細胞が死にやすくなることが明らかになった(Oncogene 2018)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血管内皮細胞におけるα2,6-シアル酸は、新規の抗血管新生阻害剤標的となり得ることが本研究から明らかになりました。α2,6-シアル酸欠損マウスは免疫系の軽微な異常が見られるため、阻害剤は免疫系の副作用をもたらす可能性があります。現在、α2,6-シアル酸を模倣した低分子化合物のスクリーニング中であり、将来的にPECAMの相互的結合を阻害するような選択的化合物を得られれば、新たな抗血管新生阻害剤の候補になると期待できます。
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