研究課題/領域番号 |
16K08602
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
金田 勇人 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40528212)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 幹細胞 / 老化 / microRNA / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
老化した複数の組織幹細胞で広範なmicroRNA(miRNA)の発現低下が誘導されており、特定のmiRNAの発現を回復させることで、分化能や分泌因子の発現量を回復できることを発見した。この分泌因子には、様々な組織の加齢性機能障害を回復できるものを含んでおり、miRNAの発現異常が生体恒常性の破綻に重要な影響を与えていると考えられた。そこで、加齢による組織恒常性の破綻におけるmiRNAが果たす役割の解明が本研究の目的である。 若齢(3カ月齢)および老齢(24カ月齢以上)マウスからセルソーターを用いて採取したPdgfra+ Sca-1+の間葉系幹細胞を用いて幹細胞の老化メカニズムの解析を行った結果、老化にともない幹細胞の一部機能が喪失することが分かった。さらに、その機能障害にmiRNAが関与しており、その制御因子の同定を行った。老化により発現変動するmiRNA群の内、喪失する機能に必須なものの探索を実施したところ、一部の機能障害に関与するmiRNAの同定に成功した。このmiRNAにより全てではないが、機能をある程度回復させることができた。 一方、これまでに明らかにした幹細胞老化のメカニズムを制御し、幹細胞老化を特定の組織で人為的に誘導することで、個体老化プロセスの解析も開始した。ターゲットとした組織で幹細胞老化を誘導すると、早期に炎症が誘導されてくることが分かった。慢性炎症は極めて重要な老化促進要因であるため、この炎症が他の組織にも機能障害を誘導するか調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幹細胞レベルの老化メカニズムの重要な部分を明らかにしており、予定通り個体老化プロセスの解析にも着手し、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り幹細胞の機能障害に必須な分子を同定し、加齢性機能障害が回復できるか調べる。このような分子は薬剤・放射線耐性癌に効果がある可能性があり、応用化についても検討を行う。また、個体老化プロセスについても、計画通り他臓器の機能障害の誘導が起こるかどうか、筋再生能、神経新生、造血能など、組織学的・生理学的解析を中心に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本理化学研究所から滋賀医科大学へと異動したため、今年度に予定していたスクリーニングを一部来年度に実施することにしたので、次年度にそのための予算を使用することにした。一方、遺伝子改変マウスを用いた実験に早期に着手を開始しており、実験計画については順調に進展している。
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次年度使用額の使用計画 |
加齢性機能障害の誘導に必須なmiRNAのスクリーニングに必要なマイクロアレイ解析や、各種miRNAのゲノム編集ベクターの作製などに使用する。また、作製した遺伝子改変マウスは、滋賀医科大学へと異動後、速やかに実験に使用可能なように育成を行い、老齢マウス育成コロニーを再構築する事にも使用する。
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