研究課題
ヒト疾患患者検体とモデル動物を用いた解析から、2018年度は下記の成果が得られた。11-oxygenated C19 steroidは、ヒトに存在することが近年同定された非古典的男性ホルモンである。多嚢胞性卵巣症候群は生殖年齢女性の10%程度に認められる疾患である。本症患者群と正常月経女性群の血清男性ホルモン濃度を測定し、患者の男性化症状には古典的男性ホルモンのみならず非古典的男性ホルモンが関与することを見出した。本症患者における非古典的男性ホルモンの蓄積が男性化の一因であることを明らかにした。オートファジーは、ジャンク・タンパク質や機能異常を起こした細胞内小器官をリサイクルする機構として知られる。不妊症患者から回収された顆粒膜細胞を用いて、微小管結合タンパク質であり、オートファゴソームの形成初期に働くLC3とその前段階に関わるATG7の発現量および細胞内局在を調べ、それらが顆粒膜細胞が細胞死に至ることを予測するためのバイオマーカーになり得ることを見出した。顆粒膜細胞におけるオートファジー機構の破綻は、加齢による卵の質の低下の一因になることが明らかになった。膜貫通型タンパク質CD9は、エクソソームよりさらに微細な細胞外微粒子(マイクロエクソソーム)の構成因子として働く。マウス子宮内膜上皮細胞と子宮内腔液中のCD9の動態を調べ、性周期に応じたCD9の再配置が起こることを見出した。さらに、野生型と比較してCd9遺伝子欠損マウスの子宮内膜上皮細胞では、微絨毛が粗かつ短小化しており、子宮内膜上皮細胞内のミトコンドリア数が優位に減少していた。子宮内膜上皮細胞のCD9の再配置と細胞外分泌が、子宮内膜上皮細胞の膜構造とミトコンドリア数に影響を及ぼし、さらに子宮内膜の再生により内膜機能を制御することを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (1件)
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