研究課題/領域番号 |
16K08605
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
渡邉 裕介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (20562333)
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研究分担者 |
中川 修 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40283593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心臓発生 / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
先天性心疾患において、流出路・右心室の異常に関係する疾患は全体の3割を占めている。これら流出路・右心室は二次心臓形成領域(Second Heart Field; SHF)由来であり、その発生における分子機構の解析は重要な意義を持つ。また、SHFは心筋、平滑筋、内皮細胞の前駆細胞を含む多能性を示す中胚葉細胞であり、再生医療の面からも注目すべき組織である。本研究ではSHFで重要な機能を担っているIslet1とNkx2.5の2つのホメオドメイン転写因子に注目し研究を進めている。 平成29年度は、平成28年度にCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて作製したIslet1-FLAGノックインマウスを用いて、抗FLAG抗体による免疫沈降-質量分析による相互作用因子の同定を目指した。網羅的な質量分析の結果、野生型マウス胚と比較して、Islet1-FLAGノックインマウス胚で特異的に同定された核タンパク質は46因子であった。これらの内、転写調節に関与する8因子を新規のIslet1候補相互作用因子として注目した。培養細胞を用い、Islet1-FLAGおよびHAタグ付き候補因子の強制発現系での共免疫沈降実験を行った結果、1因子について相互作用が確認できた。Islet1の結合配列を繋いだルシフェラーゼレポーターを用いた転写活性解析において、この因子はLIMドメイン欠失型Islet1(単独でDNA結合可能なフォーム)と共に転写を活性化する傾向を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Islet1-FLAG,Ilset1-HAおよびNkx2.5-FLAGノックインマウスは作製できており、エピトープタグに対する抗体を用いた免疫沈降、免疫染色実験においては良好な結果を得ることができている。また、質量分析の結果、同定されたIslet1と相互作用する候補因子の一つは、in vitroにおいてIslet1と共に転写制御に関与する可能性が示されている。
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今後の研究の推進方策 |
同定できているIslet1の候補相互作用因子について、in vivoでの相互作用を確認する。同時に、SHFで発現・機能している因子、LIMドメインと相互作用することが既知の因子について、Islet1との相互作用をIslet1-FLAG、Islet1-HAノックインマウス胚を用いて解析するcandidateアプローチも並行させる。 上記因子について、Islet1との転写活性化における機能をルシフェラーゼレポーターアッセイにより検討する。 さらに、Islet1標的遺伝子の周辺ゲノム領域におけるIslet1の結合を、Islet1-FLAG、Islet1-HAノックインマウス胚を用いたクロマチン免疫沈降により検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として確保していたが本年度計画では使用しなかったため、2,375円の残額が生じた。 研究計画からは必要であり、次年度物品費として使用する。
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