研究課題
本研究課題では糖尿病性腎症の病態に関与すると考えられる転写因子ChREBPの転写活性を制御する因子群を同定することで、糖尿病性腎症の創薬標的を提案することを目的としている。具体的な内容としては、平成28年度における研究において最適化した実験条件に基づき、腎メサンギウム細胞からのChREBP転写共役因子の同定を行った。組織特異性を確認するために、肝臓、膵臓由来の細胞も同時並行的に用いている。その結果、腎メサンギウム細胞由来のChREBP結合因子として計139種類のタンパク質の同定に成功した。これらの中には、これまでChREBPとの結合が知られているMlxやHNF4a等も含まれていることから本実験の結果は信頼できると考えている。これらの同定された因子群の中から特に転写に関連すると考えられる因子を過去の文献やドメインのデータベースより抽出してクローニングを行った。さらにクローニングした因子群の中からChREBPの転写活性に影響を与える因子をルシフェラーゼレポーターアッセイによって絞り込みを行ったところ、ChREBPの転写活性を抑制する新規因子を数種類取得することができた。これら因子は、免疫沈降実験においてChREBPと相互作用することも確認している。これらの因子については、ChREBPの転写活性制御におけるさらなる詳細なメカニズムの分子解析を行っていく予定である。さらに、本研究課題において取得された因子から、ChREBPが炎症性シグナルとクロストークを行うことも見出している。この現象は、腎臓にかぎらずその他のChREBP発現組織においても生じており、今後この現象についてもさらなる解析を行っていきたいと考えている。
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