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2016 年度 実施状況報告書

脳の恒常性維持におけるオートファジーの役割

研究課題

研究課題/領域番号 16K08613
研究機関東京大学

研究代表者

久万 亜紀子  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (30392377)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードオートファジー / 選択的基質 / 神経疾患
研究実績の概要

オートファジーは、細胞内成分をオートファゴソームとよばれる袋状の構造体で包み込み、リソソームへ運んで分解する細胞内分解システムである。神経特異的オートファジー遺伝子欠損マウスは神経変性疾患様の症状を示し、オートファジー欠損によるユビキチン化タンパク質の蓄積がその原因として考えられている。しかし、オートファジーの選択的基質の量的制御の破綻が病態の一因である可能性についてはほとんど検討されていない。よって本研究課題では、オートファジー選択的基質の異常蓄積による毒性が神経障害の原因の1つであるという仮説のもと、脳内におけるオートファジー選択的基質の同定を試みる。オートファジーの選択的基質は、オートファゴソーム局在タンパク質LC3およびGABARAPとLIRモチーフを介した相互作用により認識される。よって、(1)LC3またはGABARAPと結合する。(2)LIRモチーフをもつ(3)Atg5欠損細胞で蓄積する。という3つの条件を満たすタンパク質が候補となり、これらを満たすタンパク質の同定を試みる。平成28年度は、解析に用いるためAtg5F/F:Nestin-Creマウス、Atg5F/F:Nestin-Cre:GFP-LC3マウス、Atg5欠損新生仔マウスを準備し、脳サンプルを採取した。また、Atg5F/F:Nestin-Creマウスは時間依存的に神経症状が悪化するので、6カ月齢以上の脳サンプルを準備した。現在、解析のために十分な個体数のサンプルが用意できたので、免疫沈降、質量分析、組織免疫観察による解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Atg5F/F;Nestin-Creマウスの神経症状は時間依存的に重篤化するので、6カ月齢以上のマウスを準備するために時間を要した。

今後の研究の推進方策

Atg5F/F;Nestin-Cre;GFP-LC3の脳抽出液を用いて抗GFP抗体による免疫沈降実験を行い、共沈タンパク質を質量分析により同定する。また、Atg5F/F;Nestin-CreマウスおよびAtg5-/-マウスの脳サンプルにおいて存在量が上昇したタンパク質の同定を行い、オートファジーの選択的基質候補の洗い出しを試みる。また、組織染色により神経障害部位と基質蓄積部位の関係性を調べる。さらに神経培養細胞を用いて過剰発現による細胞への影響を解析する。これらの解析により、病態の原因となりうる選択的基質タンパク質の候補の絞り込みを行い、最終的には候補タンパク質の過剰発現マウスを作製して病態との関係性を検証する。

次年度使用額が生じた理由

Atg5F/F:Nestin-Cre:GFP-LC3マウス作製に時間がかかり、平成28年度中にMS解析に用いる脳サンプルを準備できなかったため、本年度にMS解析用の費用を持ち越した。現在、Atg5F/F:Nestin-CreマウスおよびAtg5KO新生児の脳サンプル準備が終わり、Atg5:Nestin-Cre:GFP-LC3マウスは準備途中である。サンプルが揃い次第MS解析に進む。

次年度使用額の使用計画

脳サンプルのMS解析を委託するための費用として計上する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Systemic Analysis of Atg5-Null Mice Rescued from Neonatal Lethality by Transgenic ATG5 Expression in Neurons.2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshii SR, Kuma A, Akashi T, Hara T, Yamamoto A, Kurikawa Y, Itakura E, Tsukamoto S, Shitara H, Eishi Y, Mizushima N.
    • 雑誌名

      Developmental Cell

      巻: 39 ページ: 116-130

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2016.09.001.

    • 査読あり
  • [学会発表] Systemic Analysis of Atg5-Null Mice Rescued from Neonatal Lethality by Transgenic ATG5 Expression in Neurons2017

    • 著者名/発表者名
      Akiko Kuma, Saori Yoshii, Takumi Akashi, Taichi Hara, Atsushi Yamamoto, Yoshitaka Kurikawa, Eisuke Itakura, Satoshi Tsukamoto, Hiroshi Shitara, Yoshinobu Eishi, Noboru Mizushima
    • 学会等名
      Joint Japan-Korea-China Young Investigator Conference
    • 発表場所
      Korea
    • 年月日
      2017-02-19 – 2017-02-21
    • 国際学会
  • [図書] 遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル2016

    • 著者名/発表者名
      久万 亜紀子
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      羊土社

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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