本研究では、薬剤誘導性Wnt5aコンディショナルノックアウトマウスを用いて実験を行い、炎症を伴う腸管上皮修復過程においてWnt5aを欠損させると回復度合いが減弱することから、Wnt5aシグナルがこの過程を促進することを明らかにした。さらに、発がん剤アゾキシメタン投与とその後のDSS投与によって誘発される大腸がん形成過程でも、Wnt5aシグナルは腫瘍形成を促進することが明らかになった。また、ヒトとマウスの腸管炎症病態では潰瘍部に集積した線維芽細胞でWnt5aが高発現するが、そのWnt5aの発現制御にはTGF-βシグナルが関与することが明らかになった。
|