研究課題/領域番号 |
16K08630
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
後藤 芳邦 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (90455345)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アミノペプチダーゼ / 一酸化窒素 / ケモカイン / サイトカイン / エキソソーム / ベーチェット病 |
研究実績の概要 |
これまでにLPS投与によってブドウ膜炎を発症させたマウスでは、血中にERAP1が分泌されることを見出した。また、このERAP1分泌は、炎症メディエーターである一酸化窒素(NO)の原料である遊離Argを産生することを見出した。さらに、マウス腹腔内マクロファージやマクロファージ細胞株を用いたin vitro解析において、LPS刺激によって分泌されたERAP1が分泌小胞エキソソームと結合し、マクロファージの貪食活性を亢進することも既に見出している。 今回、ERAP1結合エキソソームのNO合成に及ぼす影響について検討した。その結果、ERAP1結合エキソソームのマクロファージへの単独処理ではNO合成が誘導されなかったが、本エキソソームは微量のIFN-beta(10 IU/mL)共存化で非常に強いNO産生活性を示した。このNO合成亢進メカニズムを明らかにするために、ERAP1エキソソーム構成成分解析や阻害剤を用いた研究を行ったところ、本エキソソームにはTNF-alpha、IFN-gammaが含有されており、IFN-betaを含めた3者が協調的に作用することでマクロファージのiNOS発現を引き起こすことが明らかになった。さらに、エキソソーム中のERAP1がペプチドの分解を介して遊離Argを産生し、マクロファージにNOの原料として提供することを見出した。以上の結果は、ERAP1結合エキソソームがNO産生装置として機能し、微弱な感染シグナルを受け取って炎症を誘発することを示唆している。尚、これらの結果は、昨年度論文として報告した。 これまでの2年間の解析結果から、細胞外へと分泌されたERAP1が炎症反応を亢進することが示されている。ベーチェット病の炎症にはERAP1の分泌が関与する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベーチェット病発症におけるERAP1の関与を明らかにする目的で本研究計画は実施されている。これまでの研究の結果、ERAP1が一酸化窒素の合成を促進することで炎症を惹起することが分かった。また、炎症性サイトカインと協調してマクロファージを活性化し、炎症を増悪させる可能性も示された。これらの機能はいずれもベーチェット病の発症や増悪に関与しうる。一方で、ERAP1エキソソームの抗原提示やt細胞などその他免疫担当細胞への関与についてはまだ明らかではない。また、ERAP1 SNPのベーチェット病への関与についても明らかにしていかなければならない。
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今後の研究の推進方策 |
ERAP1エキソソームにはMHCクラスI分子が豊富に含まれることがショットガン解析により明らかにしている。そこで、ERAP1エキソソームで処理した細胞のMHCクラスI抗原提示能への影響を明らかにすることを目指す。また、ヘルパーt細胞では活性化とともにERAP1の分泌が認められることからt細胞においても細胞外ERAP1は何らかの役割を果たしていると考えられる。そこで、ERAP1エキソソームのt細胞への影響についても解析する。そして、上記機能へのERAP1 SNPの影響について解析する。これらの知見を統合し、ベーチェット病発症におけるERAP1の関与機構を明らかにする。
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