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2017 年度 実施状況報告書

深層学習による大規模ゲノムコホート解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K08638
研究機関東北大学

研究代表者

田宮 元  東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (10317745)

研究分担者 植木 優夫  久留米大学, 付置研究所, 准教授 (10515860)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードゲノム / 遺伝学 / 機械学習
研究実績の概要

本研究は、深層学習の枠組みを利用して、高次元の表現型計測データから健康状態変数を特徴表現抽出するためのソフトウェアを開発することを目的としている。これをADNI(800人余りのアルツハイマー病コホート)のような公開ゲノムコホートデータや東北メディカル・メガバンク機構で収集されている数万人規模の大規模ゲノムコホートデータへ適用して、遺伝子×遺伝子ならびに遺伝子×環境相互作用の同定を可能にする。平成29年度は、平成28年度に作成されたソフトウェアを、実際のゲノムコホートデータの解析について応用を進めた。すなわち、実際のゲノムコホートデータを与えて、特徴表現抽出を行い、抽出された健康状態変数を応答変数とし、ゲノムワイドSNPs情報と環境因子(生活習慣)、その相互作用を説明変数とした高次元変数選択による網羅的解析を進めた。
詳細手順は以下のとおり。1)健康状態変数の構築。平成28年度に作成された深層学習ソフトウェアを、ADNIデータや東北メディカル・メガバンク機構で収集された表現型データに適用し、特徴表現抽出を行い、健康状態変数として定義した。さらに、健康状態変数値に対応する実際の健康状態変化をprospectiveに記録し、今後の更なる応用に備えた。2)網羅的分析による効果を持つ因子の同定。上記の健康状態変数を応答変数とし、ゲノムワイドSNPs情報、環境因子(生活習慣)、その相互作用項を全て説明変数として含めて、高次元変数選択法によるアソシエーション解析を行った。高次元変数選択手法としては、申請者がこれまでの研究で罰則付き回帰(Sure Independence Search; SIS)を実装したソフトウェアプログラムを利用した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、深層学習の枠組みを利用して、高次元の表現型計測データから健康状態変数を特徴表現抽出するためのソフトウェアを開発することを目的としている。これをADNI(800人余りのアルツハイマー病コホート)のような公開ゲノムコホートデータや東北メディカル・メガバンク機構で収集されている数万人規模の大規模ゲノムコホートデータへ適用して、遺伝子×遺伝子ならびに遺伝子×環境相互作用の同定を可能にするものである。平成28年度に、当初の予定通り、入力とする表現型の選抜とそのスケーリングの検討、深層学習のための多層ニューラルネットをデザインし、テストデータを与えて、特徴表現学習のトレーニングとフィードバックを行った。このプロトタイピングをもとに、健康状態変数を抽出するための深層学習アルゴリズムのソフトウェア実装を行った。引き続き平成29年度についても、当初の予定通り、実際のゲノムコホートデータを与えて、特徴表現抽出を行い、抽出された健康状態変数を応答変数とし、ゲノムワイドSNPs情報と環境因子(生活習慣)、その相互作用を説明変数とした高次元変数選択による網羅的解析を進めた。

今後の研究の推進方策

引き続き、実際のゲノムコホートデータを与えて、特徴表現抽出を行い、抽出された健康状態変数を応答変数とし、ゲノムワイドSNPs情報と環境因子(生活習慣)、その相互作用を説明変数とした高次元変数選択による網羅的解析を行う。また、同定された因子のアノテーションとリストアップを進める。具体的には、上記手順で同定された遺伝子や環境因子、その相互作用を機能的な情報でアノテーションし、リストアップして、追試研究に提供する。

次年度使用額が生じた理由

ソフトウェアを開発するにあたり、計算環境を進捗に合わせて拡張してきた。特に、公共データベースから得られたデータや、計算実行時の一時データを保存するための、ストレージ増設を予定していた。年度途中にそれらデータベースの更新をキャッチアップする予定であったが、小規模にリソースを追加するよりも、購入時期をずらすことによって、同価格でより容量の多い後継品を選ぶほうが効率的と考えられた。データの一時保存先を調整することにより、ストレージ拡張まで研究計画の進捗に影響することがないものと見込んでいる。また、次年度のデータが蓄積されてきた時点で、次年度使用額に相当する範囲内で購入可能な、より容量の多い後継品を購入する。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 8件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of reported pathogenic variants and their frequencies in a Japanese population based on a whole-genome reference panel of 2049 individuals2017

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi-Kabata Y, Yasuda J, Tanabe O, Suzuki Y, Kawame H, Fuse N, Nagasaki M, Kawai Y, Kojima K, Katsuoka F, Saito S, Danjoh I, Motoike IN, Yamashita R, Koshiba S, Saigusa D, Tamiya G, Kure S, Yaegashi N, Kawaguchi Y, Nagami F, Kuriyama S, Sugawara J, Minegishi N, Hozawa A, Ogishima S, Kiyomoto H, et al.
    • 雑誌名

      J Hum Genet.

      巻: 63 ページ: 213~230

    • DOI

      10.1038/s10038-017-0347-1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genome-wide meta-analysis in Japanese populations identifies novel variants at the TMC6-TMC8 and SIX3-SIX2 loci associated with HbA1c.2017

    • 著者名/発表者名
      Hachiya T, Komaki S, Hasegawa Y, Ohmomo H, Tanno K, Hozawa A, Tamiya G, Yamamoto M, Ogasawara K, Nakamura M, Hitomi J, Ishigaki Y, Sasaki M, Shimizu A.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 7 ページ: 16147

    • DOI

      10.1038/s41598-017-16493-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Security controls in an integrated Biobank to protect privacy in data sharing: rationale and study design2017

    • 著者名/発表者名
      Takai-Igarashi T, Kinoshita K, Nagasaki M, Ogishima S, Nakamura N, Nagase S, Nagaie S, Saito T, Nagami F, Minegishi N, Suzuki Y, Suzuki K, Hashizume H, Kuriyama S, Hozawa A, Yaegashi N, Kure S, Tamiya G, Kawaguchi Y, Tanaka H, Yamamoto M.
    • 雑誌名

      BMC Med Inform Decis Mak.

      巻: 17 ページ: 100

    • DOI

      10.1186/s12911-017-0494-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Detecting genetic association through shortest paths in a bidirected graph2017

    • 著者名/発表者名
      Ueki Masao、Kawasaki Yoshinori、Tamiya Gen、for Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative
    • 雑誌名

      Genet Epidemiol.

      巻: 41 ページ: 481~497

    • DOI

      10.1002/gepi.22051

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AI創薬に向けた複雑な疾患の遺伝統計学モデル2017

    • 著者名/発表者名
      高山 順, 田宮 元
    • 雑誌名

      日本化学会情報化学部会誌

      巻: 35 ページ: 128~132

    • DOI

      10.11546/cicsj.35.158

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Detecting genetic association through shortest paths in a bidirected graph2018

    • 著者名/発表者名
      M. Ueki, Y. Kawasaki, G. Tamiya
    • 学会等名
      International Workshop at Waseda University 2018 (IWAWU2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 双方向グラフ上の最短経路を利用した遺伝関連解析2018

    • 著者名/発表者名
      植木優夫、川崎能典、田宮 元
    • 学会等名
      科研費研究集会・「生命・自然科学における複雑現象解明のための統計的アプローチ」
  • [学会発表] Rapid and accurate genetic predictive modelling for large-scale genetic study2017

    • 著者名/発表者名
      Masao Ueki
    • 学会等名
      IASSL 3rd INTERNATIONAL CONFERENCE
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 東北メディカル・メガバンク機構の大規模ゲノムデータの紹介2017

    • 著者名/発表者名
      田宮 元
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Detecting genetic association through shortest paths in a bidirected graph2017

    • 著者名/発表者名
      Masao Ueki
    • 学会等名
      ISI-ISM-ISSAS Joint Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Machine Learning / Artificial Intelligence Based Methods for Genomic Cohort2017

    • 著者名/発表者名
      Gen Tamiya
    • 学会等名
      2nd Karolinska-Tohoku Joint Symposium on Medical Sciences
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ジャポニカアレイを用いた東北メディカル・メガバンク機構大規模ゲノムコホートの解析について2017

    • 著者名/発表者名
      田宮 元
    • 学会等名
      第2回ジャポニカアレイ研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Genetic Epidemiological Studies of the ToMMo Genomic Cohorts2017

    • 著者名/発表者名
      Gen Tamiya
    • 学会等名
      第21回国際疫学会総会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Detecting genetic association through shortest paths in a bidirected graph2017

    • 著者名/発表者名
      M. Ueki, Y. Kawasaki, G. Tamiya
    • 学会等名
      IFCS2017
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ゲノム医療におけるリスク予測へ向けて2017

    • 著者名/発表者名
      田宮 元
    • 学会等名
      NGS現場の会第五回研究会
    • 招待講演
  • [備考] リスク統計解析室

    • URL

      http://www.genetix-h.com/~AMERI/

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公開日: 2018-12-17  

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