研究課題
本申請は安全で、感染効率の高いAAVベクター(rAAV)を、無血清細胞培養液を用いた異種成分不含(Xenogeneic Free)培養システムを用いて、適正製造規範に適合させるために超遠心分離を行うことなく、簡易精製の可能なrAAVの作成系の確立を目的としています。簡易精製方法の基盤技術として、超遠心分離操作を含まないrAAV1、rAAV8および9の精製法を確立し、国内外の学会で発表してきました。 rAAV9精製法を異なったウイルスゲノムを有するウイルス、ss- および. ds-ウイルスゲノムを持つrAAV 9、異なったGOI等の精製を更に行い、それぞれが再現性良く、総力価が10E+14 ベクターゲノム程度のrAAV9 ベクターを得ること確認しました。これらの最終精製分画のrAAV9をネガティブ染色し、電子顕微鏡観察により質的均一性を検討したところ、中空粒子の混入は5%以下という良好な結果を得ました。しかし、本申請の昨年度経費より消耗備品類を購入させて頂いた分析用超遠心機analytical ultracentrifugation (AUC)により、この最終精製分画を分析したところ、完全長のウイルスゲノムを含むもの他に、ベクターゲノムを欠く空の粒子、断片化されたまたは不完全なベクターゲノムを含む多数の異なるウイルス種を含む粒子の集合体であることが示唆され、これらの結果をMol Ther Methods Clin Dev 11:180-190, 2018にほうこくしました。また、空の粒子、断片化されたまたは不完全なベクターゲノムを含む粒子の含有率は、ss- および. ds-ウイルスゲノムの構造、ゲノム遺伝子の塩基配列に依存しているような傾向がみられました。これらの結果を踏まえて、本課題を達成するためには、不純物の少ないウイルス作成法の再検討を行う必要あると考えます。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)
Mol Ther Methods Clin Dev
巻: 11 ページ: 180-190
https://doi.org/10.1016/j.omtm.2018.10.015