研究課題/領域番号 |
16K08647
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋山 好光 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (80262187)
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研究分担者 |
田中 真二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30253420)
島田 周 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20609705)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒストン修飾 / 難治性癌 / エピゲノム / ヒストンメチル化 |
研究実績の概要 |
ヒストン修飾変化と癌との関連性が注目されており、EZH2やSETDB1のようなSETドメインと呼ばれる保存された領域を持つ遺伝子の発現異常が多くの癌で検出されている。我々は胃癌組織を用いてSET関連遺伝子SETDB2の免疫組織染色を行い、SETDB2が胃癌の約30%で高発現していることを明らかにした。臨床病理学的諸性状との関係では進行胃癌におけるSETDB2の発現異常頻度が高く、それらは患者予後が有意に悪かった。またSETDB2は胃癌組織内で発現が異なる場所が存在し、SETDB2の組織内heterogeneityの可能性が示唆された。機能的解析の結果、SETDB2を強制発現すると、胃癌細胞の増殖および浸潤能が亢進した。更にSETDB2はヒストンH3K9のトリメチル化活性機能を持つことが示唆された。SETDB2は癌抑制遺伝子WWOXとCADM1のプロモーター領域にリクルートされると、その部分のヒストンH3K9トリメチル化を介してこれら遺伝子の発現を抑制していることを明らかにした。またエピジェネティック阻害薬(X)を処理するとSETDB2発現が低下した。この研究はtransientな実験系であるため、引き続きSETDB2を安定的に発現する胃癌細胞株、およびゲノム編集法を用いたSETDB2ノックアウト細胞株の樹立を進めている。また、肝癌や膵癌においてもSETDB2タンパク質の免疫組織染色を進めており、難治性癌におけるSETDB2の役割を引き続き検討中である。我々は既に胃癌でSET関連遺伝子SET7/9が癌抑制的な働きを持つことを報告している。現在、SET7/9のノックアウト細胞の樹立を進めている。今後、これらの細胞株を用いて機能的解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は胃癌におけるSETDB2発現亢進に関する論文発表ができた。更に、肝癌や膵癌でもSETDB2の発現解析を開始した。また機能的解析を行う上で、SETDB2の安定発現細胞株とノックアウト細胞株の樹立も順調に進めている。しかし、SET関連遺伝子の発現が異なる組織内領域についての分子生物学的解析およびマウスの実験系においてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
肝癌や膵癌におけるSETDB2発現解析に加えて、その他のSET関連遺伝子発現との比較検討を進める。 樹立した細胞株を用いて分子生物学的な機能解析やin vivo解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究は概ね順調に進んでいるものの、SET関連遺伝子発現とヒストン修飾の関係を明らかにするためのクロマチン免疫沈降解析部分は途中の段階である。更にマウス実験を一部変更して、遺伝子改変した細胞株の樹立を進めたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由により、未使用額の一部はヒストン修飾の機能的解析に充てることを予定している。さらにこの研究成果を論文および学会発表するための経費としても使用したい。
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