研究課題/領域番号 |
16K08650
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
甲斐 敬太 佐賀大学, 医学部, 准教授 (60516540)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胆嚢癌 / ムチンコア蛋白 / CD1a / 樹状細胞 / 腫瘍免疫 / CTL |
研究実績の概要 |
進行胆嚢癌は予後不良であり、切除不能・再発胆嚢癌に対する有効な治療法は未だ確立されていない。Cytotoxic T-lymphocyte (CTL)を誘導する免疫療法は様々な癌腫で試みられているが、胆嚢癌では癌組織中のCTLが必ずしも予後と相関しないことが知られている。その原因は不明であるが、私たちはMUC1を始めとしたムチンコア蛋白発現の多様性と癌細胞におけるCD1a発現が、胆嚢癌の免疫機構に影響している可能性に着目した。本研究の目的は、胆嚢癌におけるムチンコア蛋白およびCD1a発現の意義と免疫機構への影響を明らかにすることである。 平成28年度は、1. 胆嚢癌切除101例の臨床病理学的なデータベース作成およびブラッシュアップ、2. 肉眼的な分類 (Polypoid growthかNon-polypoid growthか、Intracystic papillary-tubular neoplasms の概念に合致するか否か)の検証、3. 組織型、T-stageの組織学的なreview、4. 組織学的な腫瘍の形態分類 (Gastric type, Intestinal type, Pancreatobiliary type, Oncocytic type, Special type)、5. 免疫組織化学 (MUC1、MUC2、MUC5AC、MUC6、CK20、CD1a)を行った。また、CTLをはじめとした炎症細胞と胆嚢癌のE-cadherin 発現に関して研究を加え、英文論文報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初に計画した平成28年度の研究実施計画のうち、qDFIHC法ないし画像解析ソフトによる免疫染色の定量的評価、凍結組織からのRT-PCR法によるCD1aのmRNA発現解析が年度内に実行できなかった。その理由としては、研究室の移転により連携研究者の協力が得にくい状況があった、当初の研究実施計画がややタイトであった、の2点が挙げられる。また、以前(2009 年~2011 年度)に科学研究費の交付を受けて行った研究(胆嚢癌における浸潤様式:脱分化のメカニズムと予後との関係)で、胆嚢癌におけるCTLの浸潤が胆嚢癌のE-cadherin発現と逆相関することを発見していたが、中途で終了し、論文報告に至っていなかった。このことは今回の研究テーマである胆嚢癌の腫瘍免疫に関しても、非常に重要な発見であると考えたため、追加の研究を行い、英文論文報告まで行って研究を完了した。この追加研究・論文報告にエフォートを費やした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、まずはqDFIHC法ないし画像解析ソフトによる免疫染色の定量的評価と中間解析を行い、仮説の検証を行う。この中で、論文化できる結果があれば、論文作成にとりかかり、当初に予定していた胆管癌や他臓器の癌腫への研究の展開を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の一部を別予算で執行したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の研究執行にあたり、消耗品や旅費、論文出版料などに費用が必要となるので、これらの費用に充てる予定である。
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