研究課題/領域番号 |
16K08653
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
村田 晋一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20229991)
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研究分担者 |
松崎 生笛 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60647428)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 尿路上皮癌 / γチューブリン / 核膜蛋白 / RCA法 / MTOC |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト膀胱尿路上皮癌における構造異型と細胞異型の分子病理学的形成機序を明らかにすることである。 A) γ-tubulinの位置異常の解析および核膜蛋白の発現の解析 非浸潤性尿路上皮癌組織に対して、γ-tubulinとE-cadherinの多重蛍光組織染色を行い、E-cadherinで囲まれる個々の細胞内のドット状に染色されるγ-tubulin発現位置を核の位置との関係から解析した。その結果、γ-tubulinは、低異型度症例では核の表層側に、高異型度症例では核の周囲に不規則に発現していた。核膜蛋白の解析では、尿路上皮癌症例に対してEmerin, LAP2, Lamin A/C, Lamin B1, Lamin B2, Baf, SUN1の免疫組織染色を行った。その結果、各核膜蛋白の発現は、個々の症例によって発現パターンは異なったものの、低異型度と高異型度症例の間で優位な差は認められなかった。 B) In situ clamp RCA (rolling circle amplification)法の開発のための基礎的研究 人工核酸を用いたPNAおよびPEG-PNAコンジュゲート鳥取大学・化学生物応用工学専攻;櫻井敏彦准教授提供)をprobeとしたFISH法を行った。また、Padlock probesを用いたin situ RCA法の可能性を探った。まず行ったPNA-FISH法とPEG-PNAコンジュゲートをprobeとしたFISH法による点突然変異の細胞内視覚化は良好な結果は得られなかった。現在、Padlock probesを用いたin situ RCA法の可能性を探っている。まず、液状検体を用いた検討ではRAS遺伝子の点突然変異の検出が可能であった。現在、細胞および組織標本を用いたin situ RCA法の染色条件を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
A) γ-tubulinの位置異常の解析および核膜蛋白の発現の解析 γ-tubulinとE-cadherinの多重蛍光組織染色の解析はほぼ終了した。核膜蛋白の解析では、Emerin, LAP2, Lamin A/C, Lamin B1, Lamin B2, Baf, SUN1の発現が、個々の症例によって発現パターンは異なったものの、低異型度と高異型度尿路上皮癌症例の間で優位な差は認められなかったため、さらに異なった核膜蛋白を模索している。 B) In situ clamp RCA (rolling circle amplification)法の開発のための基礎的研究 最初に行ったPNA-FISH法とPEG-PNAコンジュゲートをprobeとしたFISH法による点突然変異の細胞内視覚化は良好な結果は得られなかったために、研究の進捗が送れている。現在、Padlock probesを用いたin situ RCA法の可能性を探っている。まず、液状検体を用いた検討ではRAS遺伝子の点突然変異の検出が可能であった。現在、細胞および組織標本を用いたin situ RCA法の染色条件を検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
A) γ-tubulinの位置異常の解析および核膜蛋白の発現の解析 異なった核膜蛋白を模索する予定である。 B) In situ clamp RCA (rolling circle amplification)法の開発のための基礎的研究 平成28年度の研究では良好な結果を得られなかっ In situ clamp RCA法を引き続き検討する。良好な結果を得られた場合、ヒト膀胱尿路上皮癌組織に応用する。 C)染色体不安定性の形成機序 我々はp16の欠失とTeromelaseの機能異常(TERT遺伝子の異常)の共存が染色体不安定性の形成機序と推定している。低異型度および高異型度尿路上皮癌におけるp16欠失とTERT遺伝子の突然変異の関係を解析する。さらに、その結果とγ-tubulinや核膜蛋白の発現の関係を解析する。
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