リンパ節転移陽性大腸癌と肝転移陽性大腸癌の外科的切除検体を用い,原発巣とリンパ節転移巣,肝転移巣において癌関連線維芽細胞マーカーの免疫組織化学的検討を行った.原発巣,リンパ節転移巣,肝転移巣の全てに発現していたのはα-SMAのみで,D2-40,S100A4は原発巣とリンパ節転移巣,CD10は原発巣において発現していた.大腸癌の原発巣と転移巣では癌関連線維芽細胞マーカーの発現が異なっていた.肝転移巣における非化学療法群と化学療法群との比較では癌関連線維芽細胞マーカーの発現に差はみられなかったが,マーカー,化学療法の種類による相違など引き続き検討を行っていく. 術前化学療法を行った後に外科的切除が行われた大腸癌肝転移症例について,画像診断による形態評価の指標と病理診断による形態学的評価との比較・検討を行った.1) Overall attenuationの所見は,粘液湖の増加,腫瘍壊死の性質の変化を反映していた.特に,腫瘍の増殖能が高いことを表している腫瘍壊死が,化学療法の効果により腫瘍が壊死した梗塞様壊死へ変化している所見を捉えている点が重要と考えられた.2) Tumor-liver interfaceの所見は,梗塞様壊死の増加,腫瘍細胞の残存率を相関していた.梗塞様壊死への変化を捉えているとともに,梗塞様壊死を加味した新たな組織学的効果判定方法を反映していた.3) Peripheral rim enhancementは,腫瘍壊死の減少と腫瘍細胞の残存率,特に完全奏功の有無を反映していた.組織学的に完全奏功かどうかは予後を推測する上で重要であり,画像診断においてこの所見は予後を推測する重要な因子と考えられた.
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