研究課題
悪性腫瘍の進展において、細胞間接着の減弱や破綻が大きく関わっている。そこで、我々はadherens junction (AJ)を構成する分子であるafadinの発現変化が肝細胞癌の進展に影響を与えるかを検討した。①ヒト肝細胞癌20例に関して、afadinの発現を免疫染色で検討すると、全例の非癌部でafadinの発現を認めたが、15例の癌部では、発現の低下を認めた。特に低分化な癌部で発現が低下していた。②afadinの発現が低下していた未分化肝細胞癌株HLE、HLFでafadinの発現を亢進させたstable cell lineを作製すると、control vectorによるstable cell lineに比較して、有意に浸潤能の減少を認めた。③afadinの発現の高かった高分化肝細胞癌株HepG2において、siRNAでafadinの発現を抑制すると、control siRNAをtransfectionしたHepG2に比較して、有意に浸潤能は増加していた。④浸潤能の変化に関与している分子機構を検討するため、上記の様にHepG2においてafadinの発現を抑制した場合とHLEあるいはHLFでafadinを高発現したstable cell lineにおいて、コントロールと比較し、ERK1/2とAktのリン酸化に明らかな変化を認めなかったが、Srcのリン酸化に有意な変化を認めた。⑤siRNAでafadinの発現を抑制したHepG2にSrc inhibitor (SU6656)を添加し、浸潤能を検討すると、afadinの発現抑制により亢進した浸潤能はほぼコントロールレベルまで有意に抑制された。以上から、肝細胞癌においてafadinの発現低下が浸潤能の亢進を導き、この浸潤能の亢進はSrcのリン酸化の増加によってもたらされると考えられた。
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