研究課題
[背景]近年、programmed death-1 (PD-1)およびPD-ligand 1 (PD-L1)等の免疫チェックポイント分子阻害による免疫療法が進行性腎細胞癌の治療に導入されている。特にvascular endothelial growth factor-tyrosine kinase inhibitor (VEGF-TKI)による分子標的治療に抵抗性を示す腎細胞癌の治療に免疫療法が用いられており、一定の成果をあげている。しかし、腎細胞癌の腫瘍微小環境におけるPD-1, PD-L1発現の意義は不明である。[対象・方法]我々は100例の未治療原発性腎細胞癌および25例のVEGF-TKI治療後の原発性腎細胞癌を対象に腫瘍細胞および腫瘍微小環境に浸潤している免疫細胞(tumor infiltrating immune cells: TIIC)におけるPD-1, PD-L1発現を免疫組織学的に検討した。[結果]TIICにおけるPD-1およびPD-L1発現の上昇ならびに腫瘍細胞によるPD-L1発現上昇は、組織学的異型度およおび腎細胞癌患者の予後不良と相関していた。 また、TIICにおけるPD-1, PD-L1の高発現はVEGF-TKIに対する治療抵抗性と関連していた。一方、腫瘍細胞におけるPD-L1発現は治療の有効性に影響を及ぼさなかった。さらに、VEGF-TKI治療後腎細胞癌組織の微小環境では未治療組織と比較してPD-1陽性およびPD-L1陽性TIICが増加していた。[結論]本研究の結果から、腫瘍微小環境に浸潤しているTIICにおけるPD-1およびPD-L1発現がVEGF-TKIに対する治療抵抗性に関与していることを示唆され、VEGF-TKI治療抵抗性腎細胞癌では、PD-1, PD-L1を標的とした免疫治療が有望な治療戦略であると考えられる。
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