研究課題/領域番号 |
16K08660
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
本間 尚子 東邦大学, 医学部, 准教授 (70321875)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 高齢者乳癌 / 内分泌療法 / 副作用 / アポクリン癌 / 粘液癌 |
研究実績の概要 |
近年、高齢者乳癌は急増しているが、高齢者乳癌についての系統立った研究は少なく、予後や薬剤の副作用については不明な点が多い。そのため臨床的対応は、一般の閉経後乳癌と同様か、さもなければ担当する医師の裁量によるところが大きく、過不足なく治療が行われているかは極めて疑わしい。高齢者乳癌では、患者背景の多様さに加え、アポクリン癌や粘液癌といった特殊型が多いことも事態を複雑化させている。本研究ではこれらの点を考慮し、(i) 高齢乳癌患者、およびアポクリン癌・粘液癌患者におけるホルモン代謝動態の解明、(ii) アポクリン癌・粘液癌の予後や、予後予測マーカー、新規特性の解明、(iii) 高齢乳癌患者における内分泌療法の副作用の特徴解明、の3つの方向からアプローチを加え、高齢者乳癌の治療最適化への貢献を目指す。 28年度の上記(i)~(iii)についての進捗状況は以下の通りである。(i)検体収集の段階。症例を蓄積している。(ii)アポクリンマーカーを含む種々の免疫組織化学的・臨床細胞学的検索を行ってきた。高齢者粘液癌の特徴を臨床細胞学的、病理組織学的、免疫組織化学的に示した。また、アポクリン癌との鑑別が問題となる低分化扁平上皮癌の臨床細胞学的特徴についても検討を行った。(iii) 副作用情報についての統計解析を行い、年齢群(45-55歳、56-69歳、70歳以上)、あるいは薬剤種(アロマターゼ阻害剤か、selective estrogen receptor modulatorか)で、副作用の出現の出方に違いがあることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
副作用研究と特殊型癌の研究の一部については概ね順調だが、凍結検体の収集と特殊型癌研究の規模拡大が遅れている。凍結検体採取については、患者に対する十分な説明を行った上で同意を取る必要がある。臨床医の協力が必須だが、28年度は臨床サイドの人員減少等、不測の事態が生じた。特殊型癌については症例抽出のための十分な時間をとることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
29年度は臨床サイドのスタッフ数が増えたため、凍結検体の収集の増加が見込まれる。特殊型癌の大規模研究については、症例抽出が律速段階であり、この段階が過ぎれば順調に研究が進むと考えている。症例抽出を急ぐ。
|
次年度使用額が生じた理由 |
凍結検体の収集が思うように進まなかったため、予定していた解析費用(委託を含む)に未使用額が生じた。また、特殊型癌については比較的小規模な研究に留まったため、免疫組織化学用試薬購入費用に未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
国内外の学会参加や論文投稿準備、凍結検体の解析、免疫組織化学等各種の試薬購入等に使用する予定である。
|