研究課題
近年、高齢者乳癌は急増しているが、高齢者乳癌についての系統立った研究は少なく、予後や薬剤の副作用については不明な点が多い。そのため臨床的対応は、一般の閉経後乳癌と同様か、さもなければ担当する医師の裁量によるところが大きく、過不足なく治療が行われているかは極めて疑わしい。高齢者乳癌では、患者背景の多様さに加え、アポクリン癌や粘液癌といった特殊型が多いことも事態を複雑化させている。本研究ではこれらの点を考慮し、(i) 高齢乳癌患者、およびアポクリン癌・粘液癌患者におけるホルモン代謝動態の解明、(ii) アポクリン癌・粘液癌の予後や、予後予測マーカー、新規特性の解明、(iii) 高齢乳癌患者における内分泌療法の副作用の特徴解明、の3つの方向からアプローチを加え、高齢者乳癌の治療最適化への貢献を目指す。平成30年度の上記(i)~(iii)についての進捗状況は以下の通りである。(i)これまでに収集した検体の解析を行うと同時に、引き続き検体収集を行い、症例を蓄積している。(ii)これまでに抽出したアポクリン癌症例群、粘液癌症例群につき、種々の免疫組織化学的検討を行っている。(iii)年齢群(45-55歳、56-69歳、70歳以上)、あるいは薬剤種(アロマターゼ阻害剤か、selective estrogen receptor modulatorか)により、副作用の出現の出方に違いがある、との結果をまとめた論文が発刊された。上記に加え、高齢者乳癌についての他施設共同研究にも加わり、研究の一端を担っている。
3: やや遅れている
凍結検体の収集が遅れている。凍結検体採取については、患者に対する十分な説明を行った上で同意を取る必要がある。もともと対象となる患者が限られる上、同意が得られないケースが続いた。同意をとるための臨床の人員不足も解消されていない。
凍結検体の収集に遅れがある。他施設とも協力し、より多角的な観点から研究を進める。
凍結検体の収集が思うように進まなかったため、予定していた解析費用(委託を含む)に未使用額が生じた。(使用計画)国内外の学会参加や論文投稿準備、凍結検体の解析、免疫組織化学等各種の試薬購入等に使用する予定である。
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