研究課題/領域番号 |
16K08661
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
河内 洋 公益財団法人がん研究会, 有明病院 病理部, 医長 (20401375)
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研究分担者 |
山本 智理子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 主任研究員 (10280629)
小林 真季 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (20599972)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胃癌 / 中分化腺癌 / 病理 |
研究実績の概要 |
本研究は、胃に発生する腺癌の中で、とりわけ組織学的不均一性を示すとされる「中分化腺癌」を対象とした後方視的研究である。病理組織検体の病理学的・分子生物学的解析結果に基づく癌の層別化を試み、転移・予後等との関係を検討してその臨床的意義をあきらかにすることを目的としている。 当該年度は、臨床病理学的項目の整理および、病理組織学的評価、ならびに一部症例に対するmicroRNA発現解析を行った。2009年1月から2011年12月の3年間の間に、研究代表者施設にて内視鏡的ないし外科的切除がすでに施行された原発性胃腺癌を抽出した。保管されているそれら切除標本の病理組織プレパラートを再評価し、各症例の病理組織学的評価(腫瘍径、壁深達度、組織分化度、脈管侵襲、浸潤様式、リンパ節転移等)を行った。当該年度は200例の評価を行い、前年度と合わせて350例の評価が完了した。 抽出した症例のなかから、中分化腺癌に分類される組織型の中で、特徴的な組織像および進展様式を示すと考えられ研究代表者がもっとも注目している「横這型」亜型については、前年度に25例の検討であきらかにした事項をさらに症例数を増やして確認した。また、当該年度ではさらに、近年注目されている亜型である「胃底腺型腺癌」についても16例の組織学的特徴をまとめるとともに、microRNAの発現を解析した。その結果、「胃底腺型」亜型は通常型の管状腺癌に比して免疫組織化学的プロファイルが異なり別のカテゴリーにクラスタリングされること、またmicroRNAの発現の点でも通常型の管状腺癌とは別のカテゴリーにクラスタリングされ、特に低悪性度を示唆する発現パターンが認められることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.前年度においては病理組織学的評価に時間を要し、予定通りの症例集積が出来なかったが、当該年度には順調に症例を集積することができた。 2.免疫組織化学、in situ Hybridizationも順調に施行できた。 3.一部症例に対するmicroRNA解析も施行できた。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学およびin situ Hybridizationの施行および評価を進め、結果を解析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の研究遂行が予定よりやや遅れたため、計画よりも使用額が少なくなり当該年度へ繰り越しとなった。当該年度はほぼ予定通りの研究遂行となったため、結果として前年度繰り越し額相当分を次年度使用額に充てる形となった。
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