研究課題
高齢者ではマイクロサテライト不安定性を示す胃癌が増加し、85歳以上の超高齢者では約1/3の胃癌がマイクロサテライト不安定性を示すことを昨年度までに明らかにした。本年度の研究では、415例(男性222例、女性193例、年齢中央値78歳、分布51~96歳)の胃癌患者の460病変を用いて、KRAS・BRAF遺伝子変異とマイクロサテライト不安定性との関連について詳細に検討し、また、胃癌ではKRAS遺伝子変異(3.5%)、BRAF遺伝子変異(0.43%)が低率であることも明らかにした。このデータを基に、KRAS遺伝子変異を示す胃癌の臨床病理学的特徴を明らかにする目的で、英国、オランダ、シンガポールの大学・医療機関と共同研究を行い、国際的な多施設大規模研究に発展させた。登録された胃癌の総数は1,282例で、KRAS変異は検討しえた1,266例中68例(5%)に、KRAS増幅は検討しえた649例中47例(7%)に認められた。KRAS変異は、中分化管状腺癌あるいはintestinal type(Lauren分類)との関連がみられた。また、最も高率にKRAS変異を認めた組織型は粘液癌であった。一方、KRAS遺伝子増幅と関連のある組織型は充実型低分化腺癌あるいはindeterminate type (Lauren分類)であり、組織学的多様性が認められた。また、剖検例をもちいてCA19-9産生胃癌を臨床病理学的に検討し、進行癌、脈管侵襲、他臓器転移、予後不良などの特徴を明らかにした。また、CA19-9産生胃癌は非細菌性血栓性心内膜炎、心耳血栓形成、pulmonary tumor thrombotic microangiopathy (PTTM)など凝固能異常の病態を発症する頻度が有意に高いことを明らかにした。
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Gastric Cancer
巻: 22 ページ: 314~322
10.1007/s10120-018-0862-6
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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