研究課題
IgG4関連疾患は日本人によって見出された新規疾患単位で、欧米人よりも日本を中心にアジア人に多い傾向があることが分かっている。これまで原因不明とされてきた形質細胞を主体とする腫瘤あるいは肥厚性病変を形成する疾患の多くがIgG4関連疾患であることが分かってきた。IgG4関連疾患は良性疾患ではあるが、最近では統計学的に悪性腫瘍を合併する頻度が高いということも報告されるようになってきた。これは単なる偶然ではなく何らかの発癌因子が関与している可能性を推測し本研究を開始した。IgG4関連疾患では病変部でIL4やTGF-betaが活性化していることが報告されている。そこでわれわれはこれらのサイトカインによって活性化することが知られているAID(突然変異誘導酵素)の可能性を疑った。研究対象として、IgG4関連疾患の顎下腺病変、コントロールとして唾石で摘出された顎下腺および口腔癌等で廓清された顎下腺をもちいた。その結果、IgG4関連疾患の顎下腺では、コントロール群である唾石で摘出された顎下腺および口腔癌等で廓清された顎下腺よりも統計学的に有意差をもってAID mRNAが高値を示していた。さらに免疫染色でも、IgG4関連疾患の顎下腺は、コントロール群である唾石で摘出された顎下腺および口腔癌等で廓清された顎下腺よりも統計学的に有意差をもってAIDの陽性所見(AID蛋白の発現)を認めた。これらは胚中心のみならず、導管にも高度の発現を認めた。以上の結果より、IgG4関連疾患の発がんに突然変異誘導酵素であるAIDが関与している可能性が示唆される結果となった。
2: おおむね順調に進展している
現時点で予定していた実験は終了しており、それなりに満足のいく結果を得ることが出来た。現在はそのデータをもとに鋭意英文論文を作成中であり、研究期間内に然るべき国際ジャーナルに掲載を目指すつもりである。
予定していた実験は終了しており、その結果を英語論文化中である。また、この結果に関連して次の実験も進行中であり、この研究に関してもきちんとした形で成果として残したいと考えている。
予想していたよりも順調に研究が進んだためである。そのため、当初の研究計画にはなかったが、この結果のevidenceをさらに高めるために追加実験をスタートさせている。この実験にこの研究費を充当する予定である。
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