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2018 年度 実績報告書

炎症性筋線維芽細胞腫瘍の新規融合遺伝子の同定と機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K08669
研究機関九州大学

研究代表者

山元 英崇  九州大学, 大学病院, 准教授 (30404073)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード炎症性筋線維芽細胞腫瘍 / 融合遺伝子 / 病理 / 診断 / NTRK3
研究実績の概要

炎症性筋線維芽細胞腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor; IMT)の約50%はALK融合遺伝子を有していることが知られていた。ROS1はALKと構造的に類似した受容体チロシンキナーゼで、肺癌の5%未満にROS1融合遺伝子が存在することが知られており、それらのキナーゼ阻害薬が治療に用いられている。これまでの我々や海外の研究でIMTの約5-10%がROS1融合遺伝子を有することが判明していた。
受容体型チロシンキナーゼTrkファミリーのTrkA,B,CはそれぞれNTRK1,2,3遺伝子にコードされており、様々な腫瘍においてNTRK1,2または3の融合遺伝子の存在が報告されている。特にNTRK3に関しては、甲状腺乳頭癌、唾液腺や乳腺の分泌癌、乳児線維肉腫などで融合遺伝子を形成しており、その多くがETV6-NTRK3融合遺伝子である。最近NTRK融合遺伝子を有する腫瘍に対して、TrkA,B,Cに対するチロシンキナーゼ阻害薬の有用性が示され、治療戦略として期待されている。
病理診断に関しては、TrkA,B,Cに対するpan-TRK抗体が開発されており、本研究ではIMTにおける診断的価値を明らかにするため、40例のIMTに対し、rabbit monoclonal pan-TRK抗体を用いて 免疫組織化学染色を行った。その結果、IMTのgenotypeはALK (n=29), ROS1 (n=2), NTRK3 (n=2), RET (n=0)といずれにも属さない“quadruple-negative” (n=7)に分類された。ETV6-NTRK3陽性IMT2例において、紡錘形 腫瘍細胞の大半がpan-TRKの核+細胞質染色パターンを示した。ALKまたはROS1陽性IMT ではpan-TRKの核発現は認められなかったが、約1/3の症例では部分的に弱い細胞質染色を示した。ETV6-NTRK3陽性の乳児線維肉腫 (n=3)と唾液腺分泌癌 (n=23)はpan-TRKの核+細胞質染色を示した。以上より、pan-TRKの核+細胞質染色パターンはETV6-NTRK3陽性IMTの同定に有用であり、NTRKに対する分子標的治療の対象となりうる患者の選択に役立つ可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Diagnostic utility of pan-TRK immunohistochemistry in inflammatory myofibroblastic tumor2019

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto H, Nozaki Y, Kohashi K, Oda Y.
    • 学会等名
      The 108th Annual Meeting of the United States and Canadian Academy of Pathology
    • 国際学会
  • [学会発表] 炎症性筋線維芽細胞腫瘍におけるpan-TRK免疫組織化学染色の診断的有用性2019

    • 著者名/発表者名
      山元英崇、野崎優衣、孝橋賢一、田口健一、小田義直
    • 学会等名
      第108回日本病理学会総会
  • [学会発表] 甲状腺乳頭癌におけるROS1発現とROS1遺伝子再構成の頻度及び臨床病理学的解析2018

    • 著者名/発表者名
      畑中優衣、山元英崇、岩崎健、佐藤方宣、次郎丸梨那、小田義直
    • 学会等名
      第107回日本病理学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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