研究成果の概要 |
中間悪性腫瘍である炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)においてALK, ROS1, NTRK3融合遺伝子を同定した。その頻度はそれぞれ約60%, 5%, 5%であった。ALK免疫染色においては稀に、ALK1モノクローナル抗体を用いた従来法で陰性であっても、5A4モノクローナル抗体を用いた高感度法では陽性となるALK偽陰性例が存在することが判明した。pan-Trk抗体を用いた免疫染色は腫瘍細胞の核+細胞質の特徴的な発現パターンを示し、ETV6-NTRK3融合遺伝子を有するIMTの同定において、診断的価値が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
IMTは炎症性病変と病理組織像が類似しているため鑑別診断がしばしば困難である。ALK, ROS1, NTRK3融合遺伝子の検出は診断的価値が高く、IMTの確定診断の精度を高めることが期待される。またALK, RO1, NTRK3 (pan-Trk)に対する免疫染色は、その融合遺伝子陽性例の簡便なスクリーニングとして有用であり、分子標的治療の対象となりうる患者の選択に役立つ可能性がある。
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