研究課題/領域番号 |
16K08671
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
禹 哲漢 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (90537177)
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研究分担者 |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326027)
荒井 宏雅 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (10381493)
益田 宗孝 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10190365)
大橋 健一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40231203)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 肺癌 / オリゴメタスターシス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、少数個転移(1~3個)に留まる肺癌(オリゴメタスターシス)の特性を明らかにすることである。一般的に転移を伴う肺癌は、全身性疾患としての性格を持ち、化学療法が標準治療である。しかし、近年、少数個転移に留まる肺癌は、手術や放射線治療などの局所治療で完治する可能性がある事が明らかになってきた。一方で、当初、少数個転移であったが、経過中に複数臓器への多数個転移を示す症例もあり、治療開始時点でこれらを峻別可能とする指標の確立が目下切実な課題である。本研究では、過去の肺癌手術材料から①少数個転移に留まった症例、②多数個転移を来した症例を選抜し、原発巣における病理学的因子、および遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析する。そして、これらの比較検討から、少数個転移(オリゴメタスターシス)肺癌に固有の性質を明らかにし、その峻別指標の確立を目標としている。 現在までの研究実績としては、少数個転移(オリゴメタスターシス)群と多数個転移群との間で各種病理学的因子の比較解析を行った結果、多変量解析で縦隔リンパ節転移(N2)が多数個転移群と有意な相関を認めた。また、少数個転移群と多数個転移群からそれぞれ解析に適した症例をそれぞれ数例ずつ抽出し、DMAチップを用いたmicroRNAの網羅的解析を行ったところ、複数のmicroRNAが多数個転移群と比較して、少数個転移群で高発現/低発現していた。この中からいくつかのmicroRNAを選抜し、Real-Time PCRで定量的解析を行ったところ、同様な発現傾向を認めた。現在、これら候補microRNAに対して、さらに症例を追加した上でReal-time PCRによる検証作業を進めている。おおむね計画通りと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の如く、現在までの研究実績としては、少数個転移(オリゴメタスターシス)群と多数個転移群との間で各種病理学的因子の比較解析を行った結果、多変量解析で縦隔リンパ節転移(N2)が多数個転移群と有意な相関を認めた。また、少数個転移群と多数個転移群からそれぞれ解析に適した症例をそれぞれ数例ずつ抽出し、DMAチップを用いたmicroRNAの網羅的解析を行ったところ、複数のmicroRNAが多数個転移群と比較して、少数個転移群で高発現/低発現していた。現在、これら候補microRNAに対して、さらに症例を追加した上で、Real-time PCRによる検証作業を進めている。おおむね計画通りと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、少数個転移群と多数個転移群との間で異なった発現を示した複数の候補microRNAに対して、症例を追加した上で、Real-time PCRによる検証作業を進めていく。この解析結果から、少数個転移(オリゴメタスターシス)肺癌に固有の性質を明らかにし、その峻別指標の確立に繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はおおむね計画通りといえるが、年度内に消化できなかった実験があり、次年度使用額が生じた。引き続き、少数個転移群と多数個転移群との間で異なった発現を示した複数の候補microRNAに対して、症例を追加した上でReal-time PCRによる検証作業を進めていく。この解析結果から、少数個転移(オリゴメタスターシス)肺癌に固有の性質を明らかにし、その峻別指標の確立に繋げる。
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