研究課題
われわれはB細胞性リンパ腫の遺伝子変異探索過程において、男性限局性に変異を認める遺伝子DDX3Xを以前に見出した。とりわけBurkittリンパ腫など、一部の悪性リンパ腫においては疫学的に男性優位に発生するが、その原因は不明である。本研究は、われわれが見出した性差に関与すると考えられるDDX3X遺伝子を、リンパ腫発症にかかわる分子メカニズムとともに、分子疫学的観点からの解明を目指すものである。平成30年度において、さらにB細胞リンパ腫細胞株を用いた実験において、前年までDDX3Xに変異を有する細胞株にDDX3Xを導入した結果AKT/PKBのリン酸化(Ser473)の低下ならびに増殖抑制効果があることを確認し、PI3キナーゼ経路を介した増殖抑制効果が考えられていたが、さらに追加的に行った実験においては、別のDDX3Xに変異を有する細胞株に野生型DDX3Xを導入しても、AKT/PKBのリン酸化(Ser473)は認められず、DDX3Xを介した腫瘍抑制機構として、別のメカニズムの存在が示唆された。コンディショナルノックアウトマウス作製のためにCrisper-Cas9システムを用いた遺伝子改変を行い、最終的にDdx3xのintron 4-5ならびにintron 14-15の領域にloxP配列の導入したコンディショナルノックアウトマウスの樹立に成功し、F1へのgerm line transmissionも確認された。現在個体レベルでのDdx3xを介したB細胞性腫瘍の発症機構の解明のための長期観察を含めた個体レベルでのDdx3xの機能解析を進めている。
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