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2016 年度 実施状況報告書

右心室流出路を起源とする致死性不整脈の発生機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K08682
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

松山 高明  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40349113)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード右室流出路 / 心室性不整脈 / 心筋配列 / 再分極異常 / 異常興奮 / 組織学
研究実績の概要

1. 右室流出路領域の異常興奮部位の特定
ランゲンドルフ潅流下の拍動ラット摘出心に、膜電位感受性色素(di4-ANEPPS) を負荷して、心電図記録下に右室流出路部分の心筋の膜電位変化に伴う蛍光強度の変化をCMOS カメラで高速取得(500 frames/s)で捉える実験を行った。顕微鏡は計画書に記載の通りマクロズーム顕微鏡(MVX-10)を用い、画像取得と蛍光マッピングデータの解析は、画像取得解析システムMiCaM-02(Brainvision) を用いた。これは本研究の中で不整脈の発生源と伝導パターンを同定する基本的かつ最も重要な実験手技であり、低カリウム, 低マグネシウムの潅流液により心筋活動電位の再分極相の延長状態を再現した状態では、右室流出路に異常興奮部位を観察し、その伝導様式を解析した。
2. 右室流出路の異常興奮部位では細胞内カルシウム動態異常が発生している可能性が考えられ、1 と同様のラット潅流心にCa2+ 蛍光プローブ(Fluo-4) を負荷して、高速共焦点レーザー顕微鏡により異常興奮を示す部分の細胞内Ca2+動態を観察することを試みた。
3. 異常興奮部位の組織形態学的解析は、免疫組織化学的手法によるギャップ結合タンパク質(コネキシン)の発現の解析は未だ不十分であるが、右室流出路深部や中隔との接合部の組織形態も検討するための、心臓全体をパラフィン包埋した標本の連続切片標本では、心筋配列について異常興奮出現部位に心筋配列の特異性がある印象は得たものの定量的な評価には至っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1. 右室流出路領域の異常興奮部位の特定
ランゲンドルフ潅流下の拍動ラット摘出心に、膜電位感受性色素(di4-ANEPPS) を負荷して、右室流出路部分を心電図記録下に心筋の膜電位変化に伴う蛍光強度の変化をCMOS カメラで高速取得(500 frames/s)により捉えた。顕微鏡はマクロズーム顕微鏡(MVX-10)を用い、画像取得と蛍光マッピングデータの解析は、画像取得解析システムMiCaM-02(Brainvision) を用いた。この実験手法についは問題なく行えており、低カリウムおよび低マグネシウムの液を潅流させた状態で、右室流出路の異常興奮の発生部位とその伝導様式を捉えてデータを蓄積している。
2. 異常興奮部位のカルシウム動態異常の解析は高速共焦点レーザー顕微鏡により異常興奮を示す部分の細胞内Ca2+動態を観察する予定であるが、こちらは実験器材
の不具合で十分に施行できていない。
3. 異常興奮部位の組織形態学的解析は、免疫組織化学的手法によるギャップ結合タンパク質(コネキシン)の発現の解析は十分行えていないが、右室流出路深部や中隔との接合部の組織形態を検討するための、心臓全体をパラフィン包埋した標本の連続切片標本では、心筋配列については異常興奮出現部位に心筋配列の特異性がある印象を得たが定量的な評価には至っていない。

今後の研究の推進方策

膜電位変化の記録に関しては実験がある程度進んでおり、今年後以降は同定された異常興奮部位に関連する組織学的検索をすすめる。また、ラットの心臓から得られた不整脈発生に関する組織学的特徴がヒト心臓にもみられるかを検討するため、病理解剖によるヒト心臓標本の右室流出路部分に同様の組織形態学的解析と免疫組織化学的解析を開始する予定である。研究代表者の前任施設は病理解剖症例が豊富であり、研究代表者の松山がその検体を使用して行う。
さらに、ヒト心臓の解剖・組織学的データをもとに作製した仮想の右室流出路のヒト心臓上でラット心臓にみられた同様の不整脈が再現できるかシミュレーション研究を開始する予定である。シミュレーションの構築は連携研究者の原口が専門とする分野であり、研究代表者の松山と連携して行う。興奮伝導パターンのデータや組織学的データが不足する場合は適宜松山と田中により追加の実験を行う予定としている。

次年度使用額が生じた理由

当初備品として回転式ミクロトームや顕微鏡用デジタルカメラを計上していたが、研究代表者の異動先施設(京都府立医大)で当該物品と同等の機能を有する設備がまかなえたため購入に至らず、次年度使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

免疫組織化学的検索では一次および二次抗体を使用して組織標本を作製していく予定であるが、一部の一次抗体(コネキシン43, モノクロナール) は十分な染色性を得るのに通常一般的な抗体より多くの量を使用する必要があり、その経費に充当する予定である。また、実験器材として必要な消耗品を購入する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Towards an integrated understanding of cardiac arrhythmogenesis - Growing roles of experimental pathology2017

    • 著者名/発表者名
      Tanaka H, Matsuyama T, Takamatsu T
    • 雑誌名

      Pathol Int

      巻: 67 ページ: 8-16

    • DOI

      10.1111/pin.12487

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高速共焦点レーザー顕微鏡でみた心筋梗塞後に残存するプルキンエ細胞の機能的変化2016

    • 著者名/発表者名
      松山高明、田中秀央、植田初江
    • 学会等名
      第38回心筋生検研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-11-26 – 2016-11-27
  • [学会発表] ヒト心臓刺激伝導系組織の連続切片による立体画像再構築2016

    • 著者名/発表者名
      松山 高明, 原口 亮, 植田 初江, 田中秀央
    • 学会等名
      第57回日本組織細胞化学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-04
  • [学会発表] Beat-to-beat variability of intracellular Ca2+ dynamics of Purkinje cells in the infarct border zone of the mouse heart revealed by rapid-scanning confocal microscopy2016

    • 著者名/発表者名
      Taka-aki Matsuyama, Hideo Tanaka, Hatsue Ishibashi-Ueda, Tetsuo Takamatsu
    • 学会等名
      第63回日本不整脈心電学会学術大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2016-07-14 – 2016-07-17
  • [学会発表] Beat-to-beat variability of intracellular Ca2+ dynamics of Purkinje cells in the infarct border zone of the mouse heart revealed by rapid-scanning confocal microscopy2016

    • 著者名/発表者名
      Taka-aki Matsuyama, Hideo Tanaka, Tetsuro Takamatsu
    • 学会等名
      Frontiers in Cardiovascular Biology 2016
    • 発表場所
      Florence, Italy
    • 年月日
      2016-07-08 – 2016-07-10
    • 国際学会
  • [学会発表] Towards an integrated understanding of atrial arrhythmogenesis, combined fluorescence imaging of excitation and the relevant histological analysis in perfused rat heart2016

    • 著者名/発表者名
      Taka-aki Matsuyama, Hideo Tanaka
    • 学会等名
      Gordon Research Conference Cardiac Regulatory Mechanisms
    • 発表場所
      New London, NH, USA
    • 年月日
      2016-06-05 – 2016-06-10
    • 国際学会
  • [学会発表] 心筋梗塞後に心内膜面に残存するプルキンエ細胞の高速カルシウムイメージング法による機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      松山高明、田中秀央、植田初江、高松哲郎
    • 学会等名
      第105回日本病理学会総会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-05-12 – 2016-05-14
  • [図書] 診断モダリティとしての心筋病理2017

    • 著者名/発表者名
      松山高明
    • 総ページ数
      214
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 循環器診療に活かす心臓血管解剖学2016

    • 著者名/発表者名
      松山高明
    • 総ページ数
      213
    • 出版者
      メジカルビュー社
  • [図書] 心室頻拍のすべて2016

    • 著者名/発表者名
      松山高明
    • 総ページ数
      343
    • 出版者
      南江堂

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公開日: 2018-01-16  

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