研究課題
研究施設の異動により当初の実験系による基礎的な研究が難しい状況になったものの、現施設においては病理解剖症例の心臓検体を多く使用することが可能であり、ヒト心臓の形態観察による研究を続けた。ヒト心臓の左室心内膜面を粗削りして、低真空走査電子顕微鏡で不整脈源の発生に関連すると思われるプルキンエ細胞と一般心筋との結合部分が同定できないか検討したり、左室心内膜面からの連続切片なども作製して、プルキンエ細胞と一般心筋とのコネクションが見出せないか検討を行った。また、右室流出路だけでなく、両心房-心室の流入路の弁輪部にも不整脈の原因となりうる異常心筋束があると推察され、まずは心房-心室間に異常心筋を有する副伝導路症候群(WPW 症候群)の解剖症例を検索するとともに、不整脈の既往のない正常心臓においても潜在的に異常な心筋を有して不整脈原性組織となっていないか検討を進めた。WPW 症候群の症例の解析結果については学術集会において発表を行い、論文を作成中である。当初の研究目的であった右室流出路の形態についても病理解剖症例の成人ヒト心臓でその肉眼的形態を解析している。
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