研究課題
自己免疫性疾患(autoimmune disease; AID)患者の治療では,様々な免疫抑制剤や生物学的製剤が使用されるが,それに伴いリンパ増殖性疾患(lymphoproliferative disorder; LPD)が発症することが知られている.このAID-LPDは比較的新しい概念であり,成因として, Epstein-Barrウイルス(EBV)への感染,関節リウマチなどAID治療薬による免疫低下などが指摘されているが,AID-LPDの病態解明や治療選択に関する研究は未だ十分に進んでいない.本研究では,AID-LPDのうち,とくに臨床的に問題となる悪性リンパ腫に着目し,昨年度はAID-DLBCLの網羅的発現プロファイル解析に取り組んだ.期間延長を行った本年度も継続実施した.AID-DLBCL 21例(EBV陽性13例/陰性8例),non-AIDDLBCL 15例(EBV陽性5例/陰性10例)のFFPE組織検体を用いたがん免疫関連遺伝子発現の解析を行った.その結果AID-DLBCL群 とnon-AID-DLBCL群間の比較において,IL-3,CCL15,ICAM4を含め7種のがん免疫関連遺伝子で発現変動(いずれもfold change(FC)>2.0,p<0.01)が認められた.さらにAID-DLBCL 21例においてEBV陽性群と陰性群で比較を行ったところ,IL-8 (FC=15.1),TREM1 (FC=11.22,p,IL1B (FC=6.61),TNFRSF8 (FC=6.31)を含め25種の遺伝子で発現変動(いずれもp<0.005)が認められた.本検討において,各群間で特徴的ながん免疫プロファイルを示すことが明らかとなった,またEBV陽性群で認められたTNFRSF8発現上昇については,抗CD30抗体治療の感受性に関与する可能性が示唆された.
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Surg Today
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