研究課題
膵癌患者の予後改善のためには,化学療法を中心とする非切除治療の治療成績の向上が鍵となっており,予後を規定する因子に対応した個別化された分子標的治 療の導入およびそのコンパニオン診断法の確立が求められている.本研究は,先行研究として実施した同一患者原発巣・転移巣由来細胞株モデルからの遺伝子発 現プロファイル解析により同定した複数のRHO関連タンパク(RRP)群に着目し,昨年度は以下の2課題に取り組んだ:①DNAマイクロアレイ解析による超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA検体)により検体採取された膵癌30症例のRRP分子の遺伝子発現検討,②膵癌細胞株の公共データベースを用いたRRP群遺伝子発現解析.期間延長を行った本年度は①について継続実施した.昨年度前向きに収集した29症例のEUS-FNA検体から非FFPE検体(PAX固定検体)を作製し,その後DNAマイクロアレイ解析を行った.29症例のうち,8例が腫瘍量および腫瘍含有割合評価において解析不可と判定され脱落となり,21症例を対象に解析を行った.Collissonらにより報告された膵癌分子サブタイプの遺伝子セットを用いてサブタイピングを行ったところ,6例がQMタイプに,15例がCLタイプに分類された.これら症例を用いてRPR遺伝子発現プロファイリングを行ったところ,膵癌細胞株と同様に3つのクラスターに分類され,このうちの1つにQMタイプの症例が多く分類された.本検討より,膵癌の分子病態や薬物治療効果を反映するとされる分子サブタイプとARHGAP/ARHGEF遺伝子発現プロファイルが密接に関係している可能性が示唆された.
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