卵巣成熟奇形腫に合併する粘液性腫瘍のうち奇形腫由来のものは、腸管由来の粘液性腫瘍に似た臨床病理学的な態度を示し、腹膜偽粘液腫の併発も見られる。体細胞由来の症例と異なる臨床的な態度を示すことから、両者を免疫組織化学的な検索で鑑別することは重要である。また、未熟奇形腫と成熟奇形腫の発生段階が異なる点は、両者の鑑別が困難な症例の診断に応用できると思われる。腹膜神経膠腫症の起源が未熟奇形腫であることは、たとえ膠腫症が成熟した組織を示しても未熟奇形腫のグレードにより異なる態度を示し得るころを示唆している。
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