研究課題
消化管癌におけるT-UCRについて、昨年度の胃癌におけるUc.160+の発現検討に引き続き、本年度は消化管癌と同じ腺癌が組織型の大半を占める前立腺癌におけるUc.63+の意義に関して解析を行った。定量的RT-PCR法による検討ではUc.63+は前立腺癌において高発現し、Gleason's scoreの高い症例、PSA値の高い症例、原発巣よりも転移巣、ホルモン依存性症例よりも去勢抵抗性症例に有意に高発現していた。またmiR-130bやMMP2を介して増殖能や遊走能を亢進させることで前立腺癌の腫瘍進展に関わり、予後不良な去勢抵抗性前立腺癌の有用な血清診断マーカーになりうることを明らかにした。また、KRAS変異大腸癌で発現減少するカルシニューリン調節蛋白RCAN2(regulators of calcineurin 2)は胃癌において、207例中110例(53%)に発現し、T因子、N因子、M因子、stageの高い症例ほど高発現が見られ、独立した予後不良因子であった。siRNAを用いた検討によりRCAN2の発現低下は増殖能・浸潤能を抑制し、Akt, Erk1/2のリン酸化も抑制された。またRCAN2の発現はEGFR、βカテニンの核内集積、MMP7, lamininγ2、VEGF-A、VEGF-Cとの共局在が認められた。以上の結果から、RCAN2は胃癌において腫瘍進展に関わる予後不良因子であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
現在までに本研究の解析に必要な消化管癌および他臓器の癌を含むヒト悪性腫瘍における組織サンプルを十分収集できており、実際にT-UCRs発現解析データに基づく候補の検証を行っている。本年度解析したUc.63+以外の検討も胃癌、大腸癌などで行っており、T-UCRの解析を実際のヒト消化管癌のサンプルを用いてその意義について検証する作業は、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
消化管癌におけるT-UCRの発現と分子機構を解明するため、引き続き本年度と同様の解析を行うとともに、多数の臨床検体を用いた臨床病理学的検討、さらには関連分子の検討などを行い、治療標的分子、血清腫瘍マーカー、鑑別診断マーカー等の開発につなげる予定である。
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